もう、ずいぶんと昔の話になってしまうのだが、僕は大統領と握手をしたことがある。大統領と言えば、もちろんそれはアメリカ合衆国大統領にほかならない。これはたまたまトイざラスで買い物中の大統領に出くわした……とかいうわけではない。2000年に開催された九州沖縄サミットの際、当時のアメリカ合衆国大統領ビル・クリントンが糸満の平和記念公園で沖縄県民に向けて演説をする、というイベントがあったのだ。演説終了後には、大統領と地元の高校生たちが友好的に握手を交わす、という場面があらかじめ用意されており、当時まだ沖縄の高校生だった僕も、握手用のモブとして選ばれたのだった。僕は当時、料金以下のマズイめしを食わせるレストランでさえも気前よくおかわりをオーダーしてしまうような、いわゆる優等生のレッテルをはられた存在であったから、こうした役割にはうってつけだったのだろう。最初のうち、僕はこのことについてとくに何も考え