1956年生まれ。テレビディレクター、映画監督、作家。ドキュメンタリー映画『A』『A2』で大きな評価を受ける。著書に『東京番外地』など多数。 森達也 リアル共同幻想論 テレビディレクター、映画監督、作家として活躍中の森達也氏による社会派コラム。社会問題から時事テーマまで、独自の視点で鋭く斬る! バックナンバー一覧 映像は恣意的なものだ。でも、映像は客観を装う マイケル・ムーアの『ボウリング・フォー・コロンバイン』を再見した。公開時には日本国内だけでも39万人という動員を記録したこの映画については、(カンヌでパルムドールを受賞した『華氏911』も含めて)僕は大きな評価をしていない。 ただし、一般的なムーアへの批判である「現実を恣意的に切り取っている」とか「都合良く論理を構成している」などの観点に同調するつもりはまったくない。作品は自己の表出であり、「恣意的に切り取る」ことは当たり前だ。ムーア