■公と個、浮かぶ本質論 自分が担任する新1年生と長男の入学式、どちらを選ぶのか−。日程が重なった入学式で、埼玉県立高校の女性教諭は長男の入学式を優先した。「職責」を問う声と「事情」を理解する声。女性教諭の判断をめぐり、寄せられる意見の賛否は割れている。「教職員のあるべき姿とは何か」。議論を呼んだ教諭の行動は、教育者の本質を改めて問いかける契機ともなったようだ。(中村昌史) ■不在をわびる文書 「ご子息の入学式のため欠席です」。今月8日、埼玉県西部の高校入学式の一幕。校長は担任紹介で、新1年生を受け持つ50代の女性教諭について、生徒や保護者にこう紹介した。 女性教諭は別の高校に進学した長男の入学式に出席するため、休暇届を提出していた。《大切な日に担任として皆さんに会うことができないことをおわびします》。あらかじめ作成された不在をわびる文書が生徒や保護者たちに配られた。 この日のうち