カメラで何かを撮る時、見ている観客は、そこで写されるもの、そこに在るものを見つめることになる。人や生き物、風景や静物など、そこに在るものを見て物語を繋ぎ合わせていく。だがそれと同じくらい大事なのが、カメラに写っていないもの、またあえて写していないものの存在だ。マイケル・ウィンターボトムの『いとしきエブリデイ』では、母と4人の子供たちの日常が淡々と映し出されていく。学校へ行く、ごはんを食べる、ベッドに入る。そんな繰り返しの時間こそが、彼らにとってかけがえのない日常だ。だがそこにはない存在がある。それは彼らの父親だ。実際に5年をかけて5年という年月を描いたこの新作で、ウィンターボトムはそこにいない父の存在、つまり家族の中の彼の不在を描いているのだと話す。 ロンドンの北東にあるノーフォークに暮らす家族は、何らかの罪を冒した父が5年の刑で入所している刑務所へのたまの面会以外は会うことがない。囚人は