今年度のアカデミー賞で国際長編映画賞と音響賞を受賞し、数々の映画賞を総ナメにした話題作『関心領域』が、日本でも5月24日に公開に。SNSでは観た人たちのレビューが連日、トレンドになっています。 レビューでは賛否両論分かれていますが、それは『関心領域』が多くを語らず、観る側の感受性と想像力に補完を委ねる作品だから。 ※本記事には作品の重要なシーンに触れた記述があります。 アウシュビッツ強制収容所と壁ひとつ隔てた家に住む、収容所所長のドイツ人家族。壁の向こうで起きていることは一切描かれず、ただし最初からずっと、銃声や悲鳴、ユダヤ人たちを運んできた列車の音が、穏やかな一家の日常の背景に、BGMのように流れ続けます。 冒頭の真っ暗闇のシーンは、ガス室に閉じ込められたユダヤ人たちのことを想像させて、とても怖い。何も映っていないし、まだ何も始まっていないのに。「終始何も起こらなくて退屈だった」との評も