タグ

ブックマーク / www1.odn.ne.jp (10)

  • 日常雑感

  • こうの史代『この世界の片隅に』上・中

    こうの史代『この世界の片隅に』上・中 ※下巻の感想はこちら 下巻で完結するまで言及しない方がいい、と自戒していたのだが、またもや書いてしまう。「またもや」というのは上巻が出た段階でがまんしきれずに「赤旗」の連載で紹介してしまったからだ(そのあと連載は終わってしまったので、赤旗読者には紹介できる最後の機会になったので、ぼくとしてはほっとしている)。 「もう下巻まで書かんぞ」と思っていたのだが、またもや中巻が出た段階でウズウズして書いてしまった。なんという作品。 戦時下の広島県・呉市に嫁いだ北條すず(旧姓・浦野)の物語で、昭和18年——1943年の12月から編がはじまる。呉は歴史上、1945年7月に市街地が無差別に爆撃される大空襲を受ける。こうのがそれを描くのかどうかは単行しか読んでいないぼくは知らないのだが、物語はその日時へとむかってゆっくりと進んでいることは間違いない(すでに中巻の終り

  • こうの史代『この世界の片隅に』下巻

    こうの史代『この世界の片隅に』下巻 ※『この世界の片隅に』上・中巻の感想はこちら ※『夕凪の街 桜の国』の感想はこちら ※ネタバレ(作品の結末についての叙述)があります 戦争を戦後世代としてどう描くか 広島から呉に嫁ぎ、そこで戦争と空襲に出遭う北條すずの物語は完結した。 すでに上・中巻についての感想は書いた。そこでも書いたように、この物語が日常の雑事で覆われていることについては、作者・こうの史代自身があるインタビューで、 〈この作品では戦時中の生活を描くということと、戦前の女性の人生も同時に絡めて描きたいと思っています。主人公のすずという女性が、突然顔も知らない相手と結婚したり、闇市での物価の高さに驚いたり、スケッチをしていたら憲兵にスパイと思われたり…。すずの日常を描くことで、戦後に生まれた私たちが“戦争がある暮らし”というのはどんなものなのかを、ちょっとでも身近に感じられればと思うんで

  • 田無追突事故

    特別掲載:1986年3月23日田無追突事故 これは公共の交通政策と言うこのジャンルと関係ありませんが、家にためてある物を整理してたら出て来たので、特別に公開します。 当時物心ついていた鉄道趣味人なら誰でも覚えていると思いますが、この日、私の家の最寄駅である西武新宿線・田無駅で、大雪による追突事故が発生、電車は夜までストップし、社会的にも結構話題になりました。 その時ここぞとばかりに写真を撮っておき、また同人誌に執筆する形等で当時の情報も残しました。近い将来当時の同人誌から書きなおす形で文章情報も載せますので、とりあえずご覧つつご期待下さい。 また各被写体の大半は、現在では駅舎や駅前の再開発により、大きく姿を変えているので、現在の姿と見比べてみるのも一考かと思います。 北口。集結した救急車。 よく見ると救急車は「高井戸」と書いてあり、他にも未掲載写真に久我山とかあるので、相当あちこちから集め

    田無追突事故
  • NHKスペシャル「ワーキングプアIII 解決への道」の感想

    NHKスペシャル「ワーキングプアIII 解決への道」の感想 ※NHKスペシャル「ワーキングプア 働いても働いても豊かになれない」の感想こはちら ※NHKスペシャル「ワーキングプア 努力すれば抜け出せますか」の感想こはちら 07年12月15日放映のNHKスペシャル「ワーキングプアIII 解決への道」を見た。「海外のワーキングプアについて報道するらしい」という話を聞いていたから、「ああ、日の話はだいたいやっちゃったので、『海外でも広がっていますよ』『海外ではこうしてますよ』みたいなやつかな」というヌルい想像をしていたのだが、「ワーキングプアI」と「II」をつくったスタッフの力を甘くみすぎていた。 そのような、学生のレポートみてえなボケた一般論ではなかった。 日のワーキングプア問題がいきつく先が予想や推測の中ではなく、すでに「海外」という現実の中に存在しているということ、そして、日のワーキ

  • NHKアニメ「電脳コイル」

    NHKアニメ「電脳コイル」 ネットでの評価を受け取るときのぼくの感情 ぼくのが書店で並び始め、ネット上でも評がチラホラ出るようになった。 「批評とは賛美や憎悪ではない。良き批評は常に新しい『読み』を開いてくれる」などというきれいごとを言っている場合ではない。 ホメるレビューを書いてくれたらありがとうありがとうありがとう、ケナすレビューを書きやがったらこの野郎地獄に堕ちろ! 精神のジェットコースターを味わうのだ。少なくともこのについてはぼくはレビュー「される」側としてその責め苦を甘受せねばならない。 パソコンをつけてネットという亜空間に「自分」をつなぐ瞬間、たしかに世界がかわる。そして「それはリアルじゃない」「バーチャルだ」というたぐいの言説がいくらあろうとも、(ぼくについてのことであろうがなかろうが)ネット上に発せられた「言葉」に舞い上がったり、深く傷ついたりする。ネットの世界は幻影で

    whalebone
    whalebone 2007/12/01
    「自分がバーチャルな空間にいることのリアル」
  • 紙屋研究所 - 本を出しました 『オタクコミュニスト超絶マンガ評論』

    を出しました 『オタクコミュニスト超絶マンガ評論』 このたび、築地書館から『オタクコミュニスト超絶マンガ評論』というを上梓いたしました。お手にとっていただければ幸甚です。つうか、1人3冊は買って。 屋に並ぶのは(2007年)11月26日からになりますが、アマゾンでは予約を受け付けています。それから、築地書館のは、街のどんな小さな屋、80歳くらいのじいちゃんがを撫でながらエロ漫画を売っていたような、ぼくの実家の近くの屋にも必ずある、というわけではなく、やはり一定の大きな書店に限られています(築地書館のホームページで常備書店の検索ができます)。地方の方は、ネット経由がいちばん確実かと。 築地書館さんについては、ぼくも吉田太郎『200万都市が有機野菜で自給できるわけ』の書評を書いたことはありますし、ふるくは土門拳の写真集、最近では『反★進化論講座 空飛ぶスパゲッティ・モンスター

  • 中野麻美『労働ダンピング』

    中野麻美『労働ダンピング』 “男性正社員が女性非正規を搾取している” 男性正社員は、既得権益のうえにあぐらをかき、そのしわ寄せを女性などの非正規労働者はうけている――というタイプの主張をかなり見かけるようになった。派遣や請負など非正規の深刻な実態が明らかになるにつれて、その攻撃の矛先を「男性正社員」にむけるのだ。 たとえば、城繁幸『若者はなぜ3年で辞めるのか?』(光文社新書)などもこうした論調に巻き込まれているし、ぼくがこのサイトで扱った「良心的」な、たとえば丸山俊『フリーター亡国論』(ダイヤモンド社)なども解決策はこうした結論に傾斜している。 ドラマ「ハケンの品格」でさえこの影響を受けている、といっていい。 その元ネタの一つとして、NHKスペシャル「ワーキングプアII」に最も新自由主義的な学者として登場する八代尚宏(国際基督教大学教授)の『雇用改革の時代』(中公新書、1999年)をあげ

    whalebone
    whalebone 2007/04/21
    ハードな働き方のできる人だけが生き残れるような、仕事の抱え込みや奪い合いを繰り返していくようなやり方では、やがて社会は行き詰まってしまう。
  • NHKスペシャル「ワーキングプアII 努力すれば抜け出せますか」の感想

    2006年12月10日放映のNHKスペシャル「ワーキングプアII 努力すれば抜け出せますか」は、前作「ワーキングプア 働いても働いても豊かになれない」の第2弾。 非常に戦闘的な、言い換えると論争的な中身だった。 前作はワーキングプア(働く貧困層。生活保護水準以下ととりあえず規定されている)の実態とそれを生み出す構造を描いた。これにたいして、「II」はもちろん引き続きワーキングプアの実態を描くのだが(前作に1400通もの反響があり、キャスターの鎌田自身も未曾有の経験だという)、サブタイトルにあるように「努力すれば抜け出せる」という議論に、ルポを通して反論している。 「努力すれば抜け出せますか」という疑問、そして反語として。 「ワーキングプアといっても、努力すれば抜け出せるではないか」――これは自己責任論にもとづく最も有力な議論である。実際にインターネット上でも前作への反響としてこのような議論

  • NHKスペシャル「ワーキングプア 働いても働いても豊かになれない」:

    2006年7月23日放映のNHKスペシャル「ワーキングプア――働いても働いても豊かになれない」を見た。 「フリーター漂流」では、非正規雇用という貧困をうみだす根源へと迫ったが、今回はこの非正規雇用の問題もふまえたうえで、地域や自営業の衰退、社会保障の貧弱さ、貧困の世代をこえた再生産、「希望格差」など、日社会の全体像へと広がっていった。 ちなみに「ワーキングプア」とは、「働く貧困層」の意味で、もともとはアメリカで広がっている事態を説明する概念である。 ここでは、「働いているのに生活保護水準以下という人」を指す言葉として使われており、全国で400万世帯とも、それ以上ともいわれている。日の全世帯の10分の1である。番組では紹介がなかったが、平均世帯人数(1世帯2.36人)で掛けても、1000万人前後がこのような生活を強いられているということになる。 「フリーター漂流」の果てに まず最初に、3

  • 1