4年前の12月、1人の全盲の男性が駅のホームで走行中の電車に巻き込まれ、重傷を負った。この男性は落語家・笑福亭伯鶴(55)。高座への復帰も危ぶまれる大けがだったが、リハビリの末、彼は舞台に戻ってきた。誰もが先の展開をこう予測するだろう。「ハンデを乗り越えた落語家の復活物語」――。しかしインタビューに応じた伯鶴は、「僕がいいたいのは、社会的弱者が陥りがちな“甘え”の問題です」と語り始めた――。 「どうにも、世の中は極端やねえ。『もらえるもんは、ぜんぶもろとけ』いう人が、ホンマ多い気がしますわ。 『手助けするなら全部やってくれ』というのもそう。障害者のため、すべての駅のホームに可動柵つけろと要求してみたり。で、お金が足りないとわかると全部やめてしまう。それやったら、まずは急行が通過する駅だけにつけたらええやん。物事は何でも、真ん中らへんにしとかんと。 “改札に一番近い階段をスロープにしてくれ”