2018年12月13日、スペースシップ2 ユニティ飛行試験の様子。 2018年12月13日、米企業ヴァージン・ギャラクティック社は宇宙船SpaceShipTwo VSS Unity(スペースシップ2 ユニティ)による試験飛行を行い、高度約83キロメートルの宇宙空間へ到達したと発表した。英実業家リチャード・ブランソン氏の設立による同社の宇宙旅行サービス企業は、商業運航に向けた大きな目標をクリアしたことになる。 ヴァージン・ギャラクティック社による宇宙船の開発は、1996年に始まった宇宙船開発コンテスト「Xプライズ」に始まる。高度100キロメートルまでの宇宙への飛行を成し遂げたチームに賞金1000万ドルを支払うものだ。コンテストに参加したスケールド・コンポジッツ社は、マイクロソフト共同創業者のポール・アレン氏らから開発資金を得て、スペースシップ2の前身にあたる宇宙船スペースシップ1と空中発射母
地球外知的生命体に向けて人類の文明の記録を伝えるという壮大な目的のために作り出された「ゴールデンレコード」は、ボイジャー号とともに宇宙へと飛び出し、今なお宇宙空間を進み続けています。ゴールデンレコードに記録された音声や画像を、地球外生命体に解読してもらうために当時の技術者がディスクラベルに描き込んだ暗号解読のヒントをThe Vergeが解説しています。 We decoded NASA’s messages to aliens by hand - YouTube 1977年にNASAはボイジャー1号、2号のために「ゴールデンレコード」を製作しました。地球外知的生命体に到達することを想定して、地球の情報や知的生命体の活動記録を金メッキされた銅製のディスクに収めたというわけです。 ゴールデンレコードはボイジャー号の機体に取り付けられて宇宙へと打ち出され、今なお地球から最も離れた宇宙空間を移動して
50年前、5機の無人月周回衛星は月の周りを飛び、月の表面の99%を60m以上の解像度で撮影した。それはアポロミッションのために絶好の着陸地点を見つけるためのものだった。ルナ・オービター計画である。 その写真は宇宙飛行士が何か大発見はないかと歩き回れるくらい大きかったのだが、使用後は、いく度か月面着陸が行われるまで、一般公開されることはなかった。 当時、そこからアメリカのスパイ衛星カメラの優れた技術がバレることを恐れたからだ。主に懸念されたのは、ソ連が着陸地点に関する貴重な情報を手にすることだった。 1971年には画像の多くが公開されたが、主に学者向けで、それが本来持っている画質にも程遠い低解像度のものであった。 2008年以降、本来の画像が初めて公開されることになる。 それはとても鮮明な画像だったのだ。
欧州宇宙機関(ESA)と民間企業からなる開発チームは2018年3月5日、大気を取り込んで推進剤として利用する、「大気吸い込み型イオン・エンジン」の開発と噴射試験に、世界で初めて成功したと発表した。 高度200kmあたりの超低高度軌道には、希薄ながら大気が存在する。そのため、この領域を飛ぶ衛星は大気との抵抗で高度が落ちないよう、ロケットエンジンを噴射して飛行する必要がある。従来の衛星は、キセノンを推進剤に使うイオン・エンジンを使っていたが、推進剤を使い切れば運用を終えるしかなかった。 しかし、大気を推進剤に使うこのエンジンが実用化されれば、より長期間飛び続けることができるようになり、超低高度軌道を飛ぶ衛星の開発や利用が大きく進むことになるかもしれない。 大気を取り込んで推進剤として利用する、イオン・エンジンの噴射試験の様子 (C) ESA/Sitael 超低高度軌道 「宇宙は真空」とはよくい
Elon MuskのSpaceXは、ロケット産業に携わるほとんどの人が不可能だと思っていたことを成し遂げた。史上初めて、ロケットが衛星を軌道に投入し、地球に引き返して垂直に軟着陸したのだ。 ロケットを打ち上げること自体、大変に難しいのだが、その科学的な知識はよく知られており、物理学的な理論もかなり基礎的なものだ。それに対して、その逆は本当に難しい。細長い機体を真っ直ぐに上向きに軟着陸させるためには、打ち上げとはまったく異なる問題がある。 打ち上げ まずは初歩の初歩。軌道に乗せるためには、ロケットは重力と抵抗の両方と戦わなければならない。そのための設計が、皮肉なことに着陸を難しくしている。 基本となるロケットの物理的な条件は、NASAのロケットや、9歳の子どもが打ち上げる模型ロケットと変わらない。ロケットの重心(重量のバランスが取れるロケット本体内のポイント)は、推力の中心点と推力の方向とに
銀河系には約1000億個もの惑星が存在すると言われています。そのうち人類が歩いた惑星は地球のただひとつ。無人探査機が近くを通り過ぎただけのものを含めても、8個しかありません。人類の宇宙への旅は、まだ始まったばかりなのです…。 NASAで働く技術者の小野雅裕さんが、奥深い宇宙探査の世界について、わくわく感たっぷりお届けする連載「一千億分の八」。第4回のテーマは「SF」。フィクションの物語が、実は宇宙開発に大きな影響を与えてきたのです。 3人の「ロケットの父」から全てが始まった、現代の宇宙工学。彼らが宇宙への夢を抱いたきっかけを探ると、150年も前に書かれたある一冊のSF小説に辿り着きます。そのSF小説の生みの親は、ジュール・ベルヌ。彼の作品で描かれた冒険の物語は、現代のアニメやエンターテインメント、そして『宇宙兄弟』のストーリーにも引き継がれているのかもしれません。 どうして、彼は世界中の読
現代ならば「ロケットは宇宙に行くもの」というのは常識ですが、そもそもどうしてロケットは飛ぶのでしょう?「宇宙に行く」とはそもそもどういうことなのでしょうか?そして、どうしてロケットは宇宙に行けるのでしょうか?当たり前のようで意外と知られていない、聞きたいけど聞けない素朴な疑問に、NASA技術者の小野さんが、ロケットの歴史をひもときながら、分かりやすく解説してくれます! 意外と長いロケットの歴史〜鎌倉武士はロケットを目撃したか? 文永十一年(1274年)十月二十日、筑前国・博多。蒙古襲来の報を受け、九州一円の御家人が一族郎党を引き連れ参集しつつあった。博多湾はおびたたしい数の高麗船で埋め尽くされていた。蒙漢軍はすでに上陸し、後に福岡城が築かれる赤坂の丘に陣を敷いていた。その数幾万にも及んだが、彼らはとうてい戦に臨むとは思えぬほどの軽装で、携える弓はおもちゃのように短く見えた。 鎌倉武士の士気
宇宙航空研究開発機構(JAXA)のX線天文衛星「ひとみ」が通信を絶ってから1か月近くが過ぎた。当初は謎に包まれていた原因も分析が進み、およその可能性が判明してきたところだ。そこで、前回の記事では書ききれなかったより詳しい解説とともに、筆者が考える疑問点や問題点を述べていくこととする。 [前回記事リンク]X線天文衛星「ひとみ」、2重のトラブルで「自分で回った」と推定 問題その1、スタートラッカ異常時のアルゴリズム まず第一に、最初のトラブルと考えられている姿勢制御システムの問題について、改めて整理しよう。 「ひとみ」の姿勢制御システムは、2つの方法で自分の姿勢(向き)を知ることができる。慣性基準装置(IRU)とスタートラッカ(STT)だ。 IRUは、衛星を回転させたときの反動を測定する装置だ。回転いすに座った状態で目をつぶり、いすを回された感じを想像すると良いだろう。回されたときに受ける力を
§ (追記:2016-02-04)2016年2月の北朝鮮人工衛星打ち上げ予告について 北朝鮮が2016年2月3日に再び人工衛星の打上げを行うと国際機関を通じて通告しました。現時点で打ち上げ予定日は2月8日~25日、時刻は北朝鮮時間の7:00~12:00(日本時間7:30から12:30の間)となっています。第1段、フェアリング、第2段の落下予測海域が通告されていますが、2012年とほぼ同じ海域です。以下は2012年の打上げの際の内容ですが、現時点では、経路予測を含め付け加えるべきことはほとんどありません。 (追記:2016-02-07 )日本政府から北朝鮮が2月7日午前9時31分頃に打ち上げを行ったという発表がありました。第1段は9時37分頃、フェアリングは9時39分頃にほぼ予定の海域落下。9時41分に沖縄上空を通過。第2段は予定の海域から外れ9時45分頃フィリピンのルソン島の東側付近の海上
Vivid Portrait of Interacting Galaxies Marks Webb’s Second Anniversary
The Himawari-8 Real-time Web is an application via big-data technologies developed by the NICT Science Cloud project in NICT (National Institute of Information and Communications Technology), Japan. Development is in collaboration with JMA (Japan Meteorological Agency) and CEReS (Center of Environmental Remote Sensing, Chiba University).
この年末、内閣官房・衛星情報センターが運用する偵察衛星「情報収集衛星(IGS)」を巡って、3つの動きがあった。最大のものは、安倍政権が特定秘密保護法を成立させたことだ。安倍晋三首相は12月9日の記者会見で、「特定秘密」に指定する政府情報42万件のうち9割が衛星画像に関する情報だと発言した。この9割の大部分が、IGSが取得した地球観測画像であることは間違いない。 これに先立つ11月13日~12月2日にかけて、内閣官房は台風30号により大きな被害を受けたフィリピン各地域の被害状況地図を次々と公開(関連情報)した。IGSが撮影した画像を解析した結果を地図上にまとめたものだ。内閣官房が、IGSで取得したデータを解析した結果をまとめて公開するのはこれが初めてである。
「まんがサイエンス」、「なつのロケット」など、科学系の漫画を多数執筆し、最近では民間でのロケット打ち上げに協力しているあさりよしとおさん。作品を通して伝えたいことや、民間の宇宙開発についてお話をうかがいました。 科学漫画を書こうと思ったきっかけは? アポロ11号の月着陸船(提供:NASA) 基本的には、科学が好きだからです。就学前から図鑑とか百科事典が愛読書で、その頃テレビでは『サンダーバード』や『宇宙大作戦(スタートレック)』などのSFドラマを放送していたりしました。小学校に上がると、ちょうどアポロ11号の月着陸という、歴史的イベントがあり、世の中が宇宙一色に染まっていたというのも原因です。 何より本物の宇宙船、アポロにはショックを受けました。それまでのSF映画には、流線型のロケットしか出ていなかったのに、月着陸船はなんかデコボコで、空気の無いところで使うから、抵抗を考えなくていいんだ!
地球の周りをキモい軌道でグルグル回っていた不思議な物体「J002E3」の動きが一発で分かるGIFアニメ GO羽鳥 2013年10月14日 今から11年前の2002年、ひとりのアマチュア天文学者が宇宙に漂う不思議な物体を発見した。その物体は地球周回軌道上に存在しており、「な、なんと! 月以外に地球の周りを回る物体があったなんて……!」と研究者たちはビックリ仰天したという。 この未知なる物体は「J002E3」と名付けられ、しばらくは隕石や小惑星だと思われていたが、やがて意外な事実が発覚する。「こ、これは……人工的な物体だ……ッ!!」と。今回は、そんな J002E3 の動きが一発で分かるGIFアニメをご紹介したい。 ・月よりも地球に接近していた 金星の方向から地球に向かって突っ込んできた J002E3。月の軌道もぶっちぎり、月よりも地球に近い位置をグルリとカーブ。その後も、楕円の軌道で月と地球の
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月30日、打ち上げを中止した新型ロケット「イプシロン」に関する記者会見を開催、これまでの原因調査状況について説明した。イプシロンは8月27日の打ち上げを予定していたが、打ち上げのわずか19秒前に異常が見つかり、打ち上げを中止していた。再打ち上げの日程は未定だ。 記者会見に出席したのは、JAXAの森田泰弘・イプシロンロケットプロジェクトマネージャと、長田弘幸・鹿児島宇宙センター射場技術開発室長(打上管制隊企画主任)。会見は内之浦宇宙空間観測所で開催され、JAXA東京事務所にも中継された。 なぜロール角がしきい値を超えたのか まずは改めて、8月27日に発生した事象を確認しておこう。 イプシロンは打ち上げ70秒前(X-70秒)より、自動カウントダウンシーケンスを開始する。これ以降は、あらかじめ設定されている通りの手順が自動で進行。カウントゼロで点火し、ロケット
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く