母親は、娘に対して「お嬢さんの時間を無駄にするな。私は奴れい(筆者注・奴隷)です」という誓約書を書かされていた――。 昨年(2023年)、札幌ススキノのホテルで頭部のない男性の遺体が見つかった事件で、逮捕・起訴された家族3人のうち、母親の裁判が6月4日に始まった。そこで弁護側、検察側が明らかにした家族の関係のいびつさに驚いた人も少なくないだろう。しかし、実はこれは決して特殊なことではない。ここまで極端ではないにせよ、同じような状況に陥って悩んでいる家族は日本中にいると思われる。 この事件では、娘(逮捕当時29歳)が殺人や死体遺棄などの罪で、精神科医である父親(同・59歳)が殺人や遺棄などを手助けした罪で、そして母親(同・60歳)は娘が被害者の頭部を自宅に隠し損壊することを手助けした罪で、それぞれ起訴されている。 冒頭に記したのは検察側の冒頭陳述の一部である。検察は娘が「家族の中で圧倒的上位