記事:じんぶん堂企画室 書籍情報はこちら 文学研究者による様々な批評本 シェイクスピア研究を専門とする北村紗衣による2019年の批評集『お砂糖とスパイスと爆発的な何か 不真面目な批評家によるフェミニスト批評入門』(書肆侃侃房)が話題になったのはまだ記憶に新しい。この本には、書店の店頭ではあまり目立たない批評というジャンルを、アクチュアルかつ楽しいものとして再提示したかのような印象があった。ふだん批評というジャンルに馴染みのない読者も多く手に取ることになったと思う。 私もこの本を読んだためなのかどうか、その後に刊行された、文学研究を専門とする著者による本をいくつか読んだので紹介してみよう。 現代の英米文化の中の「喪失」を読む まずは高村峰生による『接続された身体のメランコリー 〈フェイク〉と〈喪失〉の21世紀英米文化』(青土社)。英米文学・文化、比較文学と表象文化論を専門とする著者による、小