自由民主党・公明党が2022年12月16日に決定した「令和5年度税制改正大綱」にはNISAの抜本的拡充が盛り込まれるとともに、超富裕層向けの増税措置も盛り込まれた。この増税措置は米国のAlternative Minimum Taxに似ているので、ミニマムタックスと呼ぶこととする。 市場関係者からは、資産所得倍増を目指してNISAの抜本的拡充を行う一方で、金融所得が主な対象となるミニマムタックスの導入はブレーキとアクセルを同時にかけるようなものだとの批判もある。しかし、税の公平感を担保するため、「1億円の壁」問題に対して、いずれ何らかの対処を行う必要はあったと考えられる。その中で、市場や起業意欲への悪影響を最小限に抑える方法として、筆者はミニマムタックスの導入を前向きに評価している。 個人の年間所得に対する所得税額の負担率を年間所得の順位別に見ると、下位から99.9%までの範囲においては所得