・津山三十人殺し―日本犯罪史上空前の惨劇 岡山県苫田郡西加茂村大字行重部落。昭和13年5月21日午前1時40分頃、農業 都井睦雄(22歳)は寝所から起きだすと、黒詰襟の服を着込み、足にはゲートルと地下足袋、頭に二本の懐中電灯をとりつけた。猛獣狩用猟銃を持ち、日本刀を腰に下げて、外に出ると、まず村の電線を断ち切り村を停電させた。世界的にも類例がないほどの単独犯による大量殺人事件の始まりであった。 犯人は最初に自分の祖母の首を斧ではね体に銃弾を大量に撃ち込んだのを皮切りに、次々に恨みのある家々を襲撃してまわり、深夜2時間ほどの間に村人30人を惨殺していった。何人かには逃げられたが、周到な予定通りの復讐を完了すると犯人は山に隠れて長い遺書を綴った(この本にはその全文も引用されている)。そして「もはや夜明も近づいた、死にましょう」と書き上げると自らの胸を銃で撃ち抜いて自殺を遂げた。 これは「八つ墓