1週間前の8月2日。東京都内で開かれた緊急会見で、シャープの奥田隆司社長は厳しい表情でこう切り出した。 「今のアクオスというテレビそのものでは、日本での生産継続はない。新しいテレビを生み出すのが体制見直しの目的だ」 テレビの国内生産を続けるため、次世代テレビの開発に注力する考えを示したが、これを聞いた元韓国サムスン電子常務で、東京大学特任研究員の吉川良三氏は「次世代テレビは韓国や米国が規格作りでリードしており、太刀打ちするのは容易ではない」と先行きを懸念する。 シャープの業績悪化の主因は薄型テレビと液晶パネルの価格下落だ。その予兆は6年前にあった。平成18年8月、シャープは第8世代と呼ばれる大型液晶を製造する亀山第2工場(三重県亀山市)を稼働させた。月産3万枚(1枚で40型8枚分)の生産能力を誇る当時、世界最新鋭の設備である。技術流出を恐れ、同社はパネルの国内生産にこだわった。 「