《 『Voice』2013年2月号より》 相手の損が自分の得 たぶん、皆さんの身の周りにもいると思うのだけれど、ぼくの知り合いにもやたらと「元を取る」ことにこだわる人びとがいる。各種の権利、サービスその他を、とにかく使い倒さないと気が済まない。 食べ放題に行くと、ローストビーフばかり食えないほど取ってきて「これがいちばん割がいい」と悦に入る。あるいは出張で飛行機に乗るとき、たまにラウンジの使用権をもらうと、もうどうせすぐに搭乗開始でラウンジに行くだけ面倒なのに、「使わないともったいない、元を取らないと」とダッシュでラウンジに向かい、シャンパンを4、5杯がぶ飲みして、またダッシュで搭乗口に向かう。 いやあ、そこまでしてシャンパンが飲みたいかねえ、とぼくは思うんだが、彼らにとっては、そういう問題ではないらしい。でもそれじゃあ、どういう問題なのかをぼくはずっと不思議に思いつつ、追求しないできたん