昨年末、刊行された経済学者の中谷巌の本「資本主義はなぜ自壊したのか 「日本」再生への提言 」が波紋を広げている。この本では米国流の金融資本主義が批判の俎上に上げられているが、そこに書かれている内容よりも、この本において新自由主義的経済学の旗振り役と目されていた中谷が、米国流の経済学から決別し、180度「転向」を表明していることが話題になっているのだ。現在発売中の週刊朝日にも登場し、「改革が日本を不幸にした」と中谷は懺悔している。 中谷巌は、米国の70~80年代を席巻した市場原理を重視した経済理論の日本への紹介者で、マル経(マルクス経済学)とケインズ経済しかなかった当時の日本に米国流の市場原理に基づくプラグマティックな経済理論を持ち込み、小渕内閣の首相諮問機関「経済戦略会議」の議長代理を務めるなど、経済政策ブレーンとして中心的役割を果たした。中谷のつくった道筋は、小泉内閣の竹中平蔵氏に受け継