「倒れるまで働け」――これは定年延長を求める議論を揶揄してよく使われるフレーズだ。かくいう小誌(Economist誌)も、定年延長を支持する立場を取っている。人々の平均寿命は着々と伸びているのに、働く年数を増やしたいと思う人は少ない。事実、フランスの野党・社会党は、政府の改革――定年を60歳から62歳まで引き上げた――を覆そうと狙っている。 就業年数の延長に人々が反対する背景には、「35〜40年も働けば、いい加減もう休んでいいだろう」という考えがある。だが「若者が職に就けるように年配者は身を引かなければならない」と考える人が多いのも理由の1つだ。そんな気持ちを代弁するかのように、英フィナンシャル・タイムズ紙のコラムニスト、ルーシー・ケラウェイ氏は最近の記事で次のように書いている。「のん気な我々の世代がそこここに居座っているから、若者が先に進めない」。 経済学者であれば、この理論における欠陥