世界と直結しているサッカーは、競争を避けて通れない。 そして、本書がおもしろいのは、必ずしも有名選手の物語ではないところ、 そして、必ずしも成功物語で占められているわけではないところである。 俺にはサッカーがある 不屈のフットボーラー16人(川本梅花) 経済学者の大竹文雄は、日本人を「競争が嫌いな国民」と指摘する(『競争と公平感』)。近代史学者の與那覇潤は、日本は中国が宋の時代に導入した科挙制度を拒否、つまりあえて自由競争社会を拒否した社会であることを強調した(『中国化する日本』)。社会学者の小熊英二は、戦時中の日本人は、上から下までが「挙国一致」の建前の下で、自分の権益を確保し横領をしていた事実を曝いている(『<民主>と<愛国>』)。 日本では、一定のルール下で争い、勝者と敗者がはっきり生まれるという社会のあり方は毛嫌いされる。逆に、ルールなき水面下での権益争いに精を出すのが日本