2011年3月29日、石原慎太郎都知事が放った矢は、見事に跳ね返って知事自身に刺さった。「桜が咲いたからといって、一杯飲んで歓談するような状況じゃない」という発言だ。この言葉に反発を感じる人々の声が高まった。 この出来事と前後して、「東北の酒を飲もう」「日本酒を守ろう」というウェブサイトが続々と生まれた。その背景とこれからの展開を追った。 震災後の自粛の空気を一変させた「ハナサケ!ニッポン!」 石原発言から4日後、4月2日(土)の夕方、被災した岩手の蔵元や杜氏が「被災地のためにもお花見をしてください」と自ら語る2本の映像が次々にYou Tubeにアップされた。2日後の4日にもまた1本。 実はこれらの動画は、偶然に同じタイミングでアップされたものではない。「ハナサケ!ニッポン!」というキャンペーン活動の一環だった。仕掛けたのはタカハシマコトさん。広告代理店の博報堂に勤務するクリエーターだ。た