東京ダウンタウンストリート1980's 1980年代初頭に撮影した東京の町並み、そして消え去った過去へと思いを馳せる。 ある浮世絵師の遺産~高見澤遠治おぼえ書 高見澤たか子著 東京書籍刊 「東京・遠き近く」の紹介記事を書き続けているが、これを書くために改めて読み返し、紹介されている書籍を読んでということを繰り返していると、近藤信行氏に講義を受けているかのような気分になれる。そして、それ以上に知らずにいた興味深い書籍に出会えることが非常に有り難い。今では絶版になっている書籍が多いのだが、図書館で探し、地元でなければ他の区から取り寄せたりといった手段で読むことが出来ることが多い。この本もそう行った手段で読むことが出来たのだが、読み終えてどうしても手元に欲しくなり、古書で探して手に入れることが出来た。これまでそういった経緯で欲しいと思っても、内容の濃い書籍は古書の価格も高くなりがちで、この本もそ
内田魯庵傳(野村喬著、リブロポート) 内田魯庵、といっても、今はもう知らない人が多いかもしれない。せいぜい一部の人が「丸善の魯庵」としてその名を知る程度であろうか。 魯庵は、明治から昭和はじめにかけての高級知識人であり、オールラウンドの文筆人である。古今東西なんでも読んでなんでも知っているというほどの博識、くわえてその文章は軽妙にしてエスプリに富む。本好きにとってはつきぬ魅力のある人だ。 これは、その魯庵の詳細な評伝である。著者は長年魯庵を研究しておられるかた。洪水の如くでてくる多くは粗製濫造の本のなかで、まれにこういう周到な準備の上に成った渾身の作に出あうと、ほんとうにうれしい。 魯庵は、慶應四年閏四月、江戸下谷のうまれである。その前年におなじ下谷で露伴が、また牛込で漱石がうまれている。同年うまれは美妙、透谷、蘆花など。慶應四年は九月に明治と改元するから、魯庵は明治の年数と年齢とがおなじ
中国文学者の高島俊男さん(80)による、古今の言葉をテーマにした名エッセー『お言葉ですが…』。その最終巻『お言葉ですが…別巻(7) 本はおもしろければよい』(連合出版)が刊行された。全18巻、22年に及ぶシリーズの完結巻となる。 同エッセーは、「週刊文春」で平成7年から18年まで連載。単行本は文芸春秋から10巻までが出版された。その後、版元を連合出版に移して週刊誌連載時の未収録分を収めた「11巻」を刊行。20年からは同社で、書き下ろしエッセーやさまざまな新聞雑誌に執筆した文章を集めた「別巻」シリーズが始まった。 連合出版は「筆者の高齢もあり書籍としてはこれが最終巻になるが、今後は弊社運営の専用ブログ(http://okotobasaishin.blog.fc2.com/)で随時高島さんの書くものを掲載していく」と話している。 日頃何げなく使う言葉の意外な由来やみっともない誤用について、たい
イギリス人アナリスト 日本の国宝を守る デービッド・アトキンソン著 講談社+α新書 忠言は耳に逆らえども…… 元ゴールドマン・サックスの金融アナリストで、現在、文化財修復企業、小西美術工藝社の社長を務めるという異色のイギリス人、デービッド・アトキンソンによる日本論。 外国人による日本論というと、概ね日本礼賛記事が多いが、このアトキンソン氏、かなり辛口。たとえば戦後の高度経済成長も、当時の状況(爆発的な人口増があり、同時に戦禍でインフラがなくなっていた)を鑑みれば、決して奇跡ではなく必然だったという分析で、日本人でしか起こり得なかったというようなものではないと一刀両断している。ま、聞いてみれば実に的を射た議論で、なるほどと思うが、多くの日本人にとってはこういう分析は不快で、「お前と話していると腹が立つ」などといわれることもあるらしい。 そのアトキンソン氏、先ほども言ったように、5年前から日本
礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。 ◎『ことわざの話』抜刷本(1930)と柳田國男の神経 柳田國男の「ことわざの話」の初出は、折口信夫・高浜虚子・柳田國男『歌・俳句・諺』(一九三〇年一月)である。これは、アルスの「日本児童文庫」の64にあたる。 この『歌・俳句・諺』のうち、柳田國男の「ことわざの話」のみを製本した『ことわざの話』という本がある。「定本柳田國男」の書誌に、「児童文庫の著者贈呈用別刷本」とあるのがそれである。 先日、国会図書館で、この「別刷本」を閲覧したところ、次のような事実がわかった。 〇表紙の上部には、横組右書き二段で、「ことわざの話」、「柳田國男著」とある。 〇表紙の下部には、「ARS」とある。 〇巻頭に、「まえがき」風の文章および正誤表が印刷された一枚の紙が貼り付けられている。 〇本文
渡辺喜一郎『石川淳傅説』(右文書院、二〇一三年八月三〇日、装幀=臼井新太郎)読了。 「はじめに」に面白い話が披露されている。まだ流行作家となる前の石川淳が世話になった海老名雄二という人物がいる。著者は昭和四十年代末から度々海老名を訪問して石川のことを聞き出し、それを文章にして発表していた。 《その都度石川に送った。どうもその「伝記的研究」がいけなかったようだ。昭和六十一年二月に来た石川からの最後のハガキには「貴下の書くものが不快で氣に入りません」などと来訪などを断る文面であった。前年までの七通の"電文"のようなハガキはすべて好意的であったのに。》 渡辺は石川の逆鱗に触れた。それにしても昭和六十一年というと、石川は八十七歳である。まだ生々しい逆鱗が残っているというのも逆に不思議だし(ただし人が年齢を重ねると寛容になると考えるのは、考える方が間違っているのかもしれない)、それまでも研究者の作っ
1・日影丈吉 ◆給仕少年の推奨献立 ◆色のない絵具 ◆さまよへる悪霊、或は屈託多き女 ◆日影さんのこと 2・井上保&森茉莉 ◆殉情は流るゝ清水のごとく ◆Anders als die Anderen ◆『マドモアゼル ルウルウ』奇談 3・泉鏡花 ◆魔界の哀愁 4・堀口大學 ◆堀口先生のこと 5・足穂&乱歩 ◆天狗、少年ほか 6・郡司正勝 ◆郡司先生の憂鬱ほか 7・菊地秀行&小泉喜美子 ◆美貌の都・月影に咲く蘭の花 8・高柳重信&中村苑子 ◆るんば・たんば・『水妖詞館』の頃 9・バレエ ◆アンドロギュヌスの魅惑 10・ディートリッヒ ◆蛾眉 11・内田百間 ◆片づかない氣持がする 12・和歌・短歌 ◆戀の歌とジェンダー 明石町便り 明石町便り1 明石町便り2 明石町便り3 明石町便り4 明石町便り5 明石町便り6 明石町便り7 明石町便り8 番外篇 明石町便り9 明石町便り10 明石町便り1
2013年04月27日15:12 カテゴリ 『不連続殺人事件』と岡倉天心――坂口安吾とコナン・ドイル(2) 坂口安吾の「不連続殺人事件」は、昭和22年9月から翌年8月まで、雑誌「新小説」に犯人当て懸賞付き探偵小説として連載された。「堕落論」で流行作家になった安吾が長編探偵小説を書く、というので注目されたが、既存の探偵小説家、例えば、海野十三などからは「坂口安吾氏その他が探偵小説を書くのは結構だが、どうせろくなものは出来ないだらう。」とひややかな眼でみられていた。しかし、連載が終わると、江戸川乱歩は早速、「『不連続殺人事件』を評す」と題する一文を「探偵作家クラブ会報」(昭和23年9月)に寄せた。「純文学者の探偵小説には望みを属することができないと云ふのが定説のやうになつてゐたが」、『不連続殺人事件』は、この定説を破った瞠目すべき作品と褒めた。 同年12月15日、『不連続殺人事件』(写真左)は
北区立中央図書館(北区十条台)に、同区西ヶ原在住の日本文化研究者ドナルド・キーンさん(90)の寄贈図書を集めた「ドナルド・キーン コレクションコーナー」が完成した。寄贈はキーンさんが自著「明治天皇」の執筆で使った研究書など788冊で、実際に手に取ることができる。キーンさんは「鉛筆で意見を書き込んだ本もあるので、それを見るのも面白いと思う」と話している。(越村格) キーンさんが2010年10月に同館で講演した際、蔵書寄贈の話が上がり、同館が準備を進めてきた。同館1階の48平方メートルに、寄贈図書と関連図書の2コーナーを設けた。25日から公開されている。 寄贈図書は和書490冊、洋書298冊。和書は「明治天皇紀」「子規全集」、司馬遼太郎の「翔(と)ぶが如く」など幅広い。キーンさんが自著の執筆で参考にした図書は、背面のラベルシールで作品ごとに色分けもしてある。キーンさんが鉛筆で書き込んだ傍線やメ
Profile 1951年生まれ。京都府京都市出身。名古屋大学理学部卒業、同大学院理学研究科修士課程修了。高校教諭を経て1994年より松阪大学政治経済学部(現・三重中京大学現代法経学部)助教授、1999年同教授を経て2004年より現職。博士(学術)(総合研究大学院大学数物科学研究科核融合科学専攻)。著書に『LaTeX2e 美文書作成入門』、『基礎からわかる情報リテラシー―コンピュータ・インターネットと付き合う基礎知識』(ともに技術評論社)などがある。 Tweet 1 2 全文 電子化を上手に活用、紙にこだわる必要は全くない 1951年京都市生まれ。名古屋大学理学部卒業、同大学院理学研究科修士課程修了。高校教諭を経て94年より松阪大学政治経済学部(現・三重中京大学現代法経学部)助教授、99年同教授を経て2004年より三重大学教育学部教授。学生時代から、パーソナルコンピュータ(当時のマイコン)
「丸谷先生には申し訳ないんだけれど…」。1日夜に東京・内幸町の帝国ホテルで行われた作家、丸谷才一さん(86)の文化勲章受章を祝う会には、親交の深い作家や編集者ら約180人が集まった。にぎやかな宴の中でもひときわ会場を沸かせたのは、冒頭のように遠慮がちに切りだした世界的指揮者、小澤征爾さん(76)の意外(?)なスピーチだった。 小澤さんは50年以上前、丸谷さんが桐朋学園で英語教師をしていたころの教え子だ。そんな小澤さんが「僕ね、こんなに外国でいろんなことやっているけれど英語はうんと下手なんです。なぜ下手かと考えると、英語の先生が丸谷先生だったから」と告白すると、会場は笑いと拍手に包まれた。話にはもちろん続きがある。 「先生は文学者だから(英国作家)ジェイムズ・ジョイスの『ダブリン市民』を読まされた。優秀な人はそれを読みながら英文学の良さを学んだと思うけれど…」。丸谷さんが使う英語うんぬんでは
『南方熊楠を知る事典』 < [関連書籍紹介] < [南方熊楠資料研究会] 『南方熊楠を知る事典』 松居竜五、月川和雄、中瀬喜陽、桐本東太編 講談社(講談社現代新書) 1993年4月刊行 本書は版元品切れです。 なお、長谷川興蔵執筆の各項目は、『長谷川興蔵集 南方熊楠が撃つもの』に再録されており(「南方熊楠・青春遍歴の周辺―『南方熊楠を知る事典』から ―」)、現在は当サイトで全文を公開しています。(2002.9) 本書は長期間にわたり入手困難となっているため、その全体を当サイトにて公開すべく、準備を初めています。用意の出来た箇所から順次当サイトにて公開いたします。(2004.7) 執筆者(五十音順) 飯倉照平 [公開] 桐本東太 曽我部俊海 [公開] [new articles: 2005. 5. 3] 月川和雄 中瀬喜陽 [公開] [new articles: 2005. 5. 8] 西川
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く