中国主導で昨年末に設立したアジアインフラ投資銀行(AIIB)が大誤算を重ねている。参加国数の数を誇るが、実態は日米や欧州との協調融資に頼り、独自の資金調達は先が見えないという羊頭狗肉。さらに習近平政権肝いりの別組織との内紛も生じかねない状況だ。 AIIBには創設メンバーとして57カ国が参加したが、中国出身の金立群総裁は、報道各社のインタビューでさらに30~40カ国が参加に関心を示していることを明らかにした。一部は打診レベルだとしながらも「多くの国が参加することになるだろう」と述べている。 規模の上では、日本と米国が主導するアジア開発銀行(ADB)に加盟する67カ国・地域を超える可能性が高まったことを誇りたいようだが、まだ中身は伴っていない。 大きな懸念材料である格付け問題は未解決だ。開発銀行は通常、融資資金を調達するために債券を発行するが、最大の出資国である中国の格付けが反映されるAIIB