<都市部に流入した遊牧民のゲルから吐き出される煙が、モンゴルの首都ウランバートルを悩ませる> 夕暮れかと思うほど辺りは薄暗いが、まだ午前11時。モンゴルの首都ウランバートルは黄色っぽいもやに包まれている。辺りに立ち込める煤煙(ばいえん)に混じって、時々強烈な異臭が鼻と喉を刺す。プラスチックを燃やす臭いだ。 ウランバートルは今や世界最悪クラスの汚染都市。昨年12月には大気汚染のレベルが北京の5倍にも達した。 都心にはモダンな高層ビルが立ち並び、周りにひしめく旧ソ連様式の殺風景なコンクリート建物群を見下ろしている。さらにその周りには18万戸もの移動式住居ゲルがひしめく。 ゲルは首都に新たに流入した人々の住まいだ。ゲルの住民がストーブで燃やすために立ち木を切り尽くし、一帯には切り株ばかりが残されている。 この30年ほどで、モンゴルの人口の約2割に当たる60万人が首都に移住した。原因はゾド(寒雪害
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