「で、最終的にトータルでいくらなの?」 「合計金額は、こちらに記してありますように100万円で。これはもう、正直ベースの金額でございまして……」 価格交渉の場面で「正直ベース」という言葉を頻繁に耳にするようになりました。相手を選ばず、うかつに使うと「じゃあ、何ですか? 御社にはウソベースの金額ってものもあるんですか?」などと、言葉尻をとらえられて、ネチネチといじめられることにもなりかねないので、気をつけたいものです。 日本語とカタカナ語を強引に結びつけた言い回しは、ビジネスの世界ではよくお目に掛かります。「正直ベース」の「ベース」は「基礎、基本」という意味で、正直ベースの金額とはつまり、掛け値抜きで純粋に積み上げていった金額です。でもそれなら、「弊社としてギリギリの金額を出してまいりました。これでご判断をお願いします」のように普通に言ってくれたほうが、よほど分かりやすいのではないでしょうか