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ブックマーク / cruel.hatenablog.com (54)

  • お金がすべてではないけれど、お金もある程度は効く。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    ビヨルン・ロンボルグが言及していたので知った報告書。 Legatum Institute, Commission on Wellbeing and Policy Wellbeing and Economy (pdf) まだ読みかけだけれど、なかなかおもしろいわー。作った委員はアンガス・ディートンからレイヤードなど、えらい人いっぱいで、非常にきちんとしたもの。 で、この中で出てくるのが冒頭に挙げたグラフ。職業別に見た、平均年収人生満足度。これを「幸福」と解釈すべきかどうかは議論のわかれるところ。「幸せ」「人生の満足度」「福祉」といったことばの選択で、この手の調査の結果がごろごろ変わるのは有名だから。でも、まあ幸福みたいなもんですな。 明らかに全体的な傾向としては、満足度と年収とには相関があって、しかも収穫逓減が効いてるらしい。だけれど、職業別の差は非常に大きい。酒場のオヤジ (public

    お金がすべてではないけれど、お金もある程度は効く。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    yasudayasu
    yasudayasu 2015/01/07
    「お金がすべてではない」というのを「お金はまったく幸福に影響しない」というふうに脳内変換してしまって、だから経済成長が不要だ現代社会を見直すべきだ心を重視すべきだ、という腐った議論につなげる人々。
  • テレビの台本。生放送だと、非常に細かく作り込むのね。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    日経プラス10台(やめてくれとのお達し。残念!) こないだピケティがらみでテレビの生放送に出たんだけど、こんなに細かく台作るんだねー。これまでテレビに数回出たときは録画だったので、言いたいこといってあとでそれが編集されて使われる形式だったから、こんな細かく指定はなかった。あと、放送中断の場合とか、あらかじめきちんと決められてるんだね。なるほどなるほど。 山形浩生の「経済のトリセツ」 by 山形浩生 Hiroo Yamagata は Creative Commons 表示 - 継承 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。

    テレビの台本。生放送だと、非常に細かく作り込むのね。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    yasudayasu
    yasudayasu 2014/12/23
    こんなに細かく台本作るんだねー。これまでテレビに数回出たときは録画だったので、言いたいこといってあとでそれが編集されて使われる形式だったから、こんな細かく指定はなかった。
  • 日銀黒田セミナー@『公研』:すばらしいが、うーん、楽観的だなあ。でも産業界だけにレクチャーとはずるい。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    先日、池内恵と対談(というかインタビュー)をしたので、この『公研』という雑誌が毎号送られてくるようになって、面白い記事とか結構ある。電力会社中心の、産業界だけが見る雑誌のようなんだけれど、もっと広く読まれていいんじゃないかと思うんだけど。 その最新号が送られてきて、表紙を見てぼくは一瞬、見たものが脳で処理される前に「あれ、これってどっかで見た名前だけどだれだっけ」というステージから「いやまさか、そんなはずはないよな」というのが何度か往復するような、めまいのようなものを感じてしまいましたよ。黒田東彦って……確か日銀行とかいうところの総裁かなんかやってる人に、同姓同名の人がいたけど、まさかねえ。金融政策の話をするというけど、まさかねえ。 そのまさか。 いやあ、金融政策運営について、産業界だけにこういうレクチャーしてあげるというのはずるいっすよ。こういう話は、経済全体に関わることなんだし、ちゃ

    日銀黒田セミナー@『公研』:すばらしいが、うーん、楽観的だなあ。でも産業界だけにレクチャーとはずるい。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    yasudayasu
    yasudayasu 2014/12/22
    黒田東彦「最近の金融経済情勢と金融政策運営」(『公研』2014年12月号 pp. 52-77, pdf 1.45MB) http://cruel.org/candybox/kouken_kurodaseminar.pdf
  • 岩田規久男の講演会に行ってきた! - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    注:写真と文はあまり関係ありません。 岩田規久男は、日銀副総裁になってから一部の人に引きこもりとまで揶揄される露出の少なさで、人前に顔を出すのは久々という感じ。で、今日は如水会館で講演があったので、のぞいてきたよ! ……といっても、先日の黒田総裁講演もあるので、そーんなに期待していなかったんだけれど、結果的にはかなりおもしろかった。 講演体 客は、月曜午前という時間帯なので仕方ないことだが、暇そうなジジイ比率がきわめて高く、これが後で禍根を……でもあとは結構まじめそうな人々。で、中身だが、まあ四の五の言わずにこの配布資料を見ろや。どんな話をしたかわかるでしょ。日銀の公式発表です。 2014.06.30 岩田規久男講演会資料とメモ(pdf 880kb) でも、いろいろな指標をまとめて並べてくれているので、わかりやすい。あと、フィリップス曲線は明解ですな。あと、「日銀のコミットメントとは、

    岩田規久男の講演会に行ってきた! - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    yasudayasu
    yasudayasu 2014/07/02
    実際、1-3月期は企業設備投資が結構伸びが加速したのに対して、貸出しやMSが目立った反応を示していないってのは結構重要なことだと思う。
  • 消費税引き上げ前夜に:2014年の経済ジャーナリズム (月刊Journalism 没原稿) - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Journalism 2014年1月号 出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2014/01/10メディア: 単行この商品を含むブログ (2件) を見る もうすぐ消費税率引き上げなので、その前に昨年末に書いた原稿をアップしておく。朝日新聞の雑誌「Journalism」が、2014 年の経済ジャーナリズムについてということで、要求通りのものを書いたのですよ。 ところが、ゲラまで直したあとで、いきなり編集長判断でボツ、とのこと。 その後、実際の雑誌が出たのを見たところ……とにかく全編、なんでもいいからとにかく安倍政権批判をしなくてはいけない、という至上命令が下った模様。群の音だ、秘密保護法でやりたいほうだい、政権の私物化だ云々。全部そんな記事ばっかり。え、2014年のジャーナリズムのあり方についての特集じゃなかったんですか―― ジャーナリズムは秘密保護法に反対しなくてはならない、よって

    消費税引き上げ前夜に:2014年の経済ジャーナリズム (月刊Journalism 没原稿) - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    yasudayasu
    yasudayasu 2014/04/01
    ほんとかな?/ いまや日銀内部も代わってきて、かつての白川体制は「アンシャンレジーム」と呼ばれているそうな。
  • ケインズ「お金の改革論」 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    エンゲルスからちょっと寄り道して、若き日のケインズ。ケインズがマネタリストでもっと明解な文章を書いた頃の代物の全訳。 まだ「ケインズ経済学」にはなっていない。その一方で、ブレトン=ウッズ体制につながるアイデアの萌芽は出ている。貨幣数量説全面支持のだと言われるけれど、三章読むと必ずしもそうではないね。基は貨幣数量説だけど、でもきちんとその通りにいかない場合もたくさんあるから注意しようね、というのが延々書いてあって、貨幣数量説をボコボコに否定した『一般理論』と、実は立場的にそんなに遠くないように思う。注意しようね、の部分を細かく詰めると、一般理論でのお金の話になる。 提言とかは、なにせ金位制時代のものだからいまは歴史的な興味だけになるけれど、「長期的にはわれわれみんな死んでいる」という有名な、ぼくのお気に入りのせりふが出てくる一冊。(pdf の p.33) お金の改革論 (pdf 430

    ケインズ「お金の改革論」 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    yasudayasu
    yasudayasu 2014/03/17
    貨幣数量説全面支持の本だと言われるけれど、三章読むと必ずしもそうではないね。基本は貨幣数量説だけど、でもきちんとその通りにいかない場合もたくさんあるから注意しようね、というの
  • アーウィン『マネーの支配者』:ECBトリシェと、その人形遣いブンデスバンクの悪行が見所です。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    マネーの支配者: 経済危機に立ち向かう中央銀行総裁たちの闘い 作者: ニール・アーウィン,関美和出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2014/03/20メディア: 単行この商品を含むブログ (3件) を見る こんなが出ました。で、このは頼まれて帯の推薦文を書いたんだけれど……こんな具合になってきました。 なんで表紙のどの名前よりもぼくの名前がでかいんだよ!! ワタクシ、そこまで営業貢献力ないと思うんですが……この推薦文に込めた当てこすりを、二割くらいの人は理解してくれると思う。 が、このは非常におもしろいではあるので、是非お読みくださいな。中央銀行制度のさらっとしたおさらいに続いて、題はこないだの金融危機の背後で中央銀行の親玉たち(除く某国)がいかに苦労したかという話。 中でも見所は、あれほど緊縮にこだわり続け、バカで頑固で頭が悪く見えて「白川かトリシェか」とまで言われたEC

    アーウィン『マネーの支配者』:ECBトリシェと、その人形遣いブンデスバンクの悪行が見所です。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    yasudayasu
    yasudayasu 2014/03/15
    見所は、あれほど緊縮にこだわり続け、バカで頑固で頭が悪く見えて「白川かトリシェか」とまで言われたECB のトリシェが、実は結構わかっていて緩和したがっていたというところ。
  • エンゲルス「イギリスの労働階級」 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    ちょっと気が向いて、若き日のエンゲルスのルポを訳してみた。訳出したところは前置きで、おもしろいのはこの次の「大都市」の章。でもここまでの章も、エンゲルスが産業革命にすっごい興奮しているのがよくわかっておもしろいところ。エンゲルス自身が若書きだと言っているので、若々しくしてみた。 イギリスにおける労働階級の状態 (pdf 671kb) 次の章はおもしろいのでこのまま進める予定で、その後は、まあ気が向けば、ですな。エンゲルスは理論家としてはアレながらイデオローグとして優秀だったらしいけれど、ルポライターとしてもお見事です。 当然邦訳あるけど、もちろん一切見てません。 付記(2015.6.13) だれも見てないだろうが、文が終わり、後記とかその後の序文とかに突入しております。 山形浩生の「経済のトリセツ」 by 山形浩生 Hiroo Yamagata is licensed under a C

    エンゲルス「イギリスの労働階級」 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    yasudayasu
    yasudayasu 2014/03/14
    おもしろいのはこの次の「大都市」の章。でもここまでの章も、エンゲルスが産業革命にすっごい興奮しているのがよくわかっておもしろいところ。エンゲルス自身が若書きだと言っているので、若々しくしてみた。
  • 日銀黒田くんの東大講演雑感 (12/7@東大) - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    日銀ボスの黒田くんが、こないだ東大で講演をしたのでありますよ。 これを主催しているGraSPPとやらは、なんかGRIPSに対抗して東大が作っている大学院なのかな? で、当日行ってみると、なにやら緊張感のない坊ちゃん嬢ちゃんどもが世界中から集まったようなところらしいというのはわかりました。なんか半分くらいの人はその後の宴会が楽しみできてるみたいで、引率ツアーみたいなことになっていましたよ。ぼくは寄付とかもしているので、覗きにいけたのです。寄付はいろいろいいことがあるので、みんなやりましょう。 ちなみに、GrasPPって、これじゃないよねえ:http://graspp.info/ さて、講演自体は……期待したほどおもしろくなかった。まず、司会やってた伊藤隆敏がちょっとしゃべりすぎ。黒田くんとのなれそめバナシとか、あまりいらないよう。さらに、黒田総裁人の講演も黒田日銀の金融緩和策のおさらいで、

    日銀黒田くんの東大講演雑感 (12/7@東大) - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    yasudayasu
    yasudayasu 2013/12/27
    司会やってた伊藤隆敏がちょっとしゃべりすぎ。黒田くんとのなれそめバナシとか、あまりいらないよう。質疑応答に対して伊藤隆敏がやたらに答えてしまい、黒田くん自身があまり話さなかったのも不満。
  • あらためて、オリンピックに経済効果なんかないこと。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    昔、Voiceに、オリンピックに経済効果なんかないし、無理して誘致すべきでない、というコラムを書いた。 オリンピックには経済効果なんかありません。(2007/05) 2007年の話で、ここで話題にしているのは、2016年リオデジャネイロオリンピックが選ばれたときの話。ぼくが言ったとおりアメリカ大陸になったでしょー。 で、その中で話題にしている研究というのは、以下のものだ。 Jeffrey G. Owen (2005) "Estimating the Cost and Benefit of Hosting Olympic Games: What Can Beijing Expect from Its 2008 Games?" The Industrial Geographer, Volume 3, Issue 1, p. 1-18 こうやっても君たちは読まないだろうから、ざっと訳してあげまし

    あらためて、オリンピックに経済効果なんかないこと。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    yasudayasu
    yasudayasu 2013/09/11
    建設費を「経済効果」として算入するのは基本的にはダメ。なぜかというと、同じお金を使って他のものを作ってもいいし、また完全雇用ならそれは他のプロジェクトから人や資源を奪うことになるし。
  • 鈴木『なめらかな社会とその敵』ヒース『ルールに従う』:社会の背後にある細かい仕組みへの無配慮/配慮について、あるいはツイッターでなめ敵とかいって喜んでる連中はしょせんファシズム翼賛予備軍でしかないこと - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    なめらかな社会とその敵 作者:鈴木 健発売日: 2013/01/28メディア: 単行 未来のための社会像? 『なめらかな社会とその敵』の想定読者は三百年後の未来人。そこからすれば評者は未開の土人だ。しかしその未開人にも、謙虚な筆致に隠れた著者の熱意と意気込みはわかる。新しい通貨システムの案出など、ジョン・ローの不換紙幣やデヴィッド・チャウムの電子通貨以来かもしれない。しかもその射程はそもそもお金の意味すら変え、社会自体の変革を夢見る遠大なものだ。 著者は、題名通りのなめらかな社会を夢見る。人々の有機的なつながりがたもたれ、様々な関係性の途切れない世界。現代のお金による取引はそれを荒っぽく分断する。投票も一かゼロかの粗雑な選択を迫る。だが、インターネットを使えば、お金も投票もまったくちがった形態を持ち得る。関係性を保ち、様々な評価のフィードバックもある通貨システムもできる。粗雑でない細やか

    鈴木『なめらかな社会とその敵』ヒース『ルールに従う』:社会の背後にある細かい仕組みへの無配慮/配慮について、あるいはツイッターでなめ敵とかいって喜んでる連中はしょせんファシズム翼賛予備軍でしかないこと - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • お願い? およびSNS革命など雑感 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    動員の革命 - ソーシャルメディアは何を変えたのか (中公新書ラクレ) 作者: 津田大介出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2012/04/07メディア: 新書購入: 4人 クリック: 165回この商品を含むブログ (35件) を見る(※上のは記事とは関係ありません。) お願い、なの? ツイッターでエゴサーチをしたら、こんなツイートがあった。 これのトラックバックを山形浩生氏の「書評」に送ったのですが表示されません。表示して下さいとお願いするコメントも投稿したのですが、認可してくれません。きっとお忙しいのでしょう。 これ、しばらく前に酷評したウォール街占拠の訳者からのものだ。お願いされていたとは知らず、見に行ったらその「お願い」とはこんなものでした。 何かの手違いだったら失礼するが、せっかくあなたにも読んでもらおうと思った記事のトラックバックが、表示されません。「反論権」及び「対

    お願い? およびSNS革命など雑感 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    yasudayasu
    yasudayasu 2012/10/29
    「拡散希望」とかいう代物がついているだけで、そのツイートは怪しげで通常は有害無益だから無視するというのが知恵だ。それでもいまだにこの手の人々の周辺では、そういう共有知は発達していないらしい。
  • 『夢と生きる』:自費出版本で、社長のたたき上げ一代記。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    夢と生きる 作者: 芦崎治出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2012/09/19メディア: 単行購入: 2人 クリック: 117回この商品を含むブログ (1件) を見る ビルメンテナンス会社のだというので、一応建築建設系をカバーする人間としては目を通しましょうということで手にした。呼んでみると、幻冬舎の自費出版部門から出ている自費出版ですねえ。あるビルメンテナンス会社の社長一代記で、焼け跡から腕一で、ビルの管理、掃除、設備、補修、その他ビルメンテ業にかかわるすべてに自社のビジネスを広げ、総合ビルメンテナンス会社に仕立てました、という話。 ちなみにビルメンテはとても大事です。REITとかでの物件評価も、そのビルのメンテをどこがやっているかで大きく変わります。だって寿命60年のビルだって、メンテの手をぬけばすぐにガタガタで30年ももたなかったりするんだもん。60年稼いでくれるか30

    『夢と生きる』:自費出版本で、社長のたたき上げ一代記。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    yasudayasu
    yasudayasu 2012/10/22
    ビルメンテはとても大事です。REITとかでの物件評価も、そのビルのメンテをどこがやっているかで大きく変わります。だって寿命60年のビルだって、メンテの手をぬけばすぐにガタガタで30年ももたなかったりするんだもん
  • 片岡『円のゆくえを問い直す』:異様な密度でアンチョコにさせていただきます。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    円のゆくえを問いなおす―実証的・歴史的にみた日経済 (ちくま新書) 作者: 片岡剛士出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2012/05メディア: 新書購入: 76人 クリック: 1,625回この商品を含むブログを見る 異様な密度の新書。企業が円高で悲鳴を上げる中、一面的な容認論も聞かれる。書は為替レートの根を解説、金位制から変動為替制への推移などの歴史をたどり、購買力平価やマンデル=フレミングなど為替の基礎理論を押さえ、近年の円高がなぜ有害かを堅実に説明。そして、理論的な理解をベースに、いまの円高の原因や、それが各種対応策でも改善されない理由が明快に説明され、根底にある今の日のデフレ経済という大問題へと議論が展開する。 理論、歴史、政策と、これほど盛りだくさんの内容を、手抜きなしで新書につめこめたのは驚き。各種メディアの評論家や学者たちによる変な円高容認議論のおかしさもわかるし

    片岡『円のゆくえを問い直す』:異様な密度でアンチョコにさせていただきます。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    yasudayasu
    yasudayasu 2012/07/12
    異様な密度の新書。理論、歴史、政策と、これほど盛りだくさんの内容を、手抜きなしで新書につめこめたのは驚き。すげー中身で、正直いって新書にしておくのはもったいない。アンチョコにさせていただきます。
  • 高山『黒人コミュニティ』:黒人コミュニティのダメなところを率直に述べたよい本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    黒人コミュニティ、「被差別と憎悪と依存」の現在――シカゴの黒人ファミリーと生きて 作者: 高山マミ出版社/メーカー: 亜紀書房発売日: 2012/05/09メディア: ?行-平装購入: 12人 クリック: 965回この商品を含むブログを見る 書に書いたようなことを、社会学者とか経済学者が書いたら、差別だとか、調査のゆがみだとか他者への無理解だとか、いろいろ言われると思う。でも著者は、黒人と結婚してシカゴ近辺の黒人コミュニティの中で生活し、実地の体験としていろんなものを見聞きして、それを非常に率直にここに書いている。むろん、差別はある。でも一方で、それを口実にして努力をしない黒人。身内をかばうのがファミリーと言うことで、悪事も怠けもたかりもすべてなあなあで容認する体質。福祉依存。身内の相互嫉妬によるカニバケツ状態。 どうすればいいか、なんてことはもちろん書いていない。そして、これだけを元

    高山『黒人コミュニティ』:黒人コミュニティのダメなところを率直に述べたよい本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    yasudayasu
    yasudayasu 2012/05/23
    むろん、差別はある。でも一方で、それを口実にして努力をしない黒人。身内をかばうのがファミリーと言うことで、悪事も怠けもたかりもすべてなあなあで容認する体質。福祉依存。身内の相互嫉妬によるカニバケツ状態
  • 斉藤・中川編『人間行動から考える地震リスクのマネジメント』:住宅関連の地震リスク低減施策を行動経済学で実証的に考えたよい本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    人間行動から考える地震リスクのマネジメント: 新しい社会制度を設計する 作者:誠, 齊藤,雅之, 中川勁草書房Amazon 題名を見て、例によって経済偏重の社会を見直せとかエコなナントカとか、その手のインチキじゃねえだろうなあ、とものすごく警戒していたが、至極まとも。 基的な問題意識は、特に住宅の建設・選択においてどうやって地震リスクをもっと考えた行動を人々にしてもらうか、というもの。耐震性の高い住宅を選んでもらうにはどうしたらいいかとか、それが地価に反映されるかとか、保険加入をどう促進するか、とか。で、その中で日住宅ローンの問題も建築士の問題も、中古マンション市場(またはそのあってなきがごとき実態)の問題も、マンション改修投資の問題も挙げている。最後には人的資の影響も見ている(この最後のだけ住宅から離れて他とちょっと焦点がずれるが)。 ここらへんをちゃんと実証的に検討しているの

    斉藤・中川編『人間行動から考える地震リスクのマネジメント』:住宅関連の地震リスク低減施策を行動経済学で実証的に考えたよい本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    yasudayasu
    yasudayasu 2012/04/09
    基本的な問題意識は、特に住宅の建設・選択においてどうやって地震リスクをもっと考えた行動を人々にしてもらうか、というもの。ここらへんをちゃんと実証的に検討しているのが本書の強み。
  • ヒース『資本主義が嫌いな人のための経済学』:不勉強な左派と図に乗った右派の両方をくさし、経済学の価値を認めるべきところでは認めろと主張するえらい本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    主義が嫌いな人のための経済学 作者: ジョセフ・ヒース,栗原百代出版社/メーカー: エヌティティ出版発売日: 2012/02/09メディア: 単行購入: 20人 クリック: 834回この商品を含むブログ (15件) を見る 2008年金融危機に始まる世界不況、さらには震災後には特に、「資主義はもう終わり」みたいな物言いを無数に見かけてきた。これは特に左派に多いし、その人たちは資主義の理論的根拠(と思っている)経済学も破綻したと言いたがる。 でもそのほとんどは、実は経済学の主張をろくに知らず、自分の主張も考え抜いていない。そしてその無知と怠慢につけこんで、現状維持の保守派が乱暴な議論をしても反論できず、おかげで万年負け犬の地位に甘んじている。 それじゃダメだ。資主義のダメな現状を改善したいなら、左派もちゃんと勉強しようぜ、というのが書だ。 というわけで書は、筋金入り左派哲学者

    ヒース『資本主義が嫌いな人のための経済学』:不勉強な左派と図に乗った右派の両方をくさし、経済学の価値を認めるべきところでは認めろと主張するえらい本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    yasudayasu
    yasudayasu 2012/03/26
    「資本主義はもう終わり」みたいな物言い。その人たちは資本主義の理論的根拠(と思っている)経済学も破綻したと言いたがる。でもそのほとんどは、実は経済学の主張をろくに知らず、自分の主張も考え抜いていない。
  • 上田美和『石橋湛山論』:石橋研究業界内部に向けた本にとどまり、それ以上の広がりはない。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    石橋湛山論―言論と行動 作者: 上田美和出版社/メーカー: 吉川弘文館発売日: 2012/02メディア: 単行 クリック: 25回この商品を含むブログを見る 石橋湛山ってだれだか知らなくて飯田泰之に嘲笑されたところへ、朝日新聞の書評があったので読んでみることにした。 分厚いで、戦前の評論活動と戦後の政治活動のギャップと言われるものについて、それが当にギャップなのか、という観点での分析。で、結論は戦前の小日主義も戦後の政治も、経済合理性という視点にもとづいていたので、一貫性はあった、という結論になる。また自立主義を主張していたのに、戦前中国については自立主義を言わなかったのは、後退ではなくて、当時の中国の統治能力への不信があったからプラグマティックな判断をしたのだ、とのこと。で、石橋湛山の思想は孤立していたと思われているけれど、東洋経済の読者層や部数を分析すると、結構広範だし部数

    上田美和『石橋湛山論』:石橋研究業界内部に向けた本にとどまり、それ以上の広がりはない。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    yasudayasu
    yasudayasu 2012/03/13
    石橋湛山ってだれだか知らなくて飯田泰之に嘲笑された/ 石橋湛山研究業界内の人向けで、ぼくが書評すべき or したい本ではなかった。パス。
  • 大田俊寛「オウム真理教の精神史」:オウムの「なぜ」を描き出した一冊で、学問としての社会的責務を宗教学者が真摯に考えた立派な本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    オウム真理教の精神史―ロマン主義・全体主義・原理主義 作者: 大田俊寛出版社/メーカー: 春秋社発売日: 2011/03メディア: 単行購入: 61人 クリック: 1,271回この商品を含むブログ (25件) を見る 先日、オウム関係者の死刑判決で、遺族は「なぜ」がわからず不満顔だったという報道について、ぼくはなぜなどと問うべきではない、どうせ答えなんか出ないんだから、という話を書いた。が、書はその「なぜ」をまがりなりにも分析して一応の答を出したであり、またオウム事件に対してこれまでまともな対応を見せてこなかった宗教学の学者が、そうした現状を真摯に反省して宗教学的な取り組みからオウムを切ってみせた点でもきわめてえらい。 読んでいて、まさに上で出てきたリアリー『神経政治学』(そしてぼくのあとがき!)が引用されていてびっくりしたんだが、オウムがどんな宗教・思想的な系譜につながるのかを明

    大田俊寛「オウム真理教の精神史」:オウムの「なぜ」を描き出した一冊で、学問としての社会的責務を宗教学者が真摯に考えた立派な本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 柴田友厚『日本企業のすりあわせ能力』:言いたいことはわかるが、無理でしょ。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    企業のすり合わせ能力―モジュール化を超えて 作者:柴田 友厚NTT出版Amazon ものの作り方は、モジュール型とすりあわせ型がある。モジュールは、モノを小さなモジュールに分けて、そのインターフェース部分をきっちり決めておいて、それぞれのモジュールは各企業がどんどん技術革新と改善を行えばいい。モジュールごとに競争が起きてイノベーションも起こりやすくなり、コストダウンも進む。 一方のすりあわせ型は、そのインターフェース部分をきっちり決めずに現場あわせで作り込んでいくやりかた。モジュール化は、モジュールの仕様その他をきっちり決めるまでに手間がかかるけれど、すりあわせはきちんと決めなくても動けるので、リードタイムが短い。また車のエンジンみたいに部品点数が多くて相互依存の切り分けがむずかしいモノだとこのやり方のほうが効く。 で、日企業はすりあわせが得意と言われてきた。一方、いまどんどんいろん

    柴田友厚『日本企業のすりあわせ能力』:言いたいことはわかるが、無理でしょ。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    yasudayasu
    yasudayasu 2012/02/14
    トヨタの系列とか日立の系列とか、お仲間内でなら相互に技術や情報を公開し合ってすりあわせも機能するかもしれない。でもそこから一歩外に出ると、それがまったく機能しないどころかけんかばかりしている。