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ブックマーク / unrepresentativeagent.blogspot.com (16)

  • Neo-Fisher Effect or Standard Monetary Stimulus?

    等において、金融緩和を実施しても、インフレ率は上がらず、景気(GDP)も大きく改善しているようには見えないことから、ネオ・フィッシャー効果を考えるべきではないかと主張している人たちがいる。 今回紹介するペーパーに倣ってちょっと整理をしてみる。 行からみると、1行目は一時的な(名目)政策金利引き上げの効果、2行目は永続的な政策金利引き上げの効果が示されている。列を見ると、1列目は、長期的なインフレ率・GDPへの効果、2列目は、短期的な効果を示している。 青いマスから見てみよう。一時的に政策金利を引き上げても、一時的という性質上、政策金利は元に戻すという想定なので、長期的には何の効果もない。 オレンジのマスは、いわゆるフィッシャー効果を表している。名目の政策金利を永続的に引き上げた場合、長期的には実体経済には影響はないと考えられるので、GDPや実質金利は影響を受けない。よって、長期的には名

    Neo-Fisher Effect or Standard Monetary Stimulus?
    yasudayasu
    yasudayasu 2019/12/14
    金利平価の実証のため金利と為替の関係を見るとき、織込みと、予想されない利上げが発表された瞬間の為替のジャンプを捉え損ねると、変な(不完全な)金利と為替の関係を"見出す"が、同じような実証の困難さがありそう
  • Automatic Stabilizers in DSGE Model

  • How to Think about Optimal Policy in Macro?

    今回は、現代のマクロ経済学者が、最適な政策・採るべき政策を考える時にどのような手法を使うのかを紹介してみようと思う。「マクロ」経済学者と書いたのは、おそらくは、このような考え方を受け入れられない、経済学者もいるはずだからだ(後で少し触れる)。ちゃんとした(マクロ)経済学者が、政府が取るべき政策について議論するときにどのように考えているのか、あるいは、ちゃんとしてない人は何がまずい(と少なくとも僕が思っているのか)がわかってもらえれば幸いである。今回はちょっと抽象的に議論して、気が向いたら、次回は、ちょっとしたモデルを組んで具体的な例を示すことをやるかもしれない(こういうことを書いても大体やらずに終わるんだけれども…)。 マクロ経済学者が望ましい政策について考えるときには、モデルをもとに、上のようなグラフを頭に描いている。x軸(Policy variable=政策変数)は政府が選べる政策であ

    How to Think about Optimal Policy in Macro?
    yasudayasu
    yasudayasu 2017/04/25
    政策って、ある状態が今より良いと分かったとしても、今からその状態に半分だけ近づいた状態が(モデルの中でも)今より良いとは限らないから難しいよなあ。
  • No, Aging Did Not Cause the Secular Stagnation. | unrepresentative agent

    今回は、AcemogluとRestrepoによる最新のNBER Working Paper("Secular Stagnation? The Effect of Aging on Economic Growth in the Age of Automation")に触れる。とても短い論文だし、2017年のAEA年次総会で発表したと書いてあるので、おそらくはAER PPに載る論文なんだろう。 まずは、簡単にバックグラウンドから紹介しよう。普通の景気循環であれば、不況期にはGDP(生産活動)の成長率が急に落ち込むものの、その後の回復期にはGDPの成長率が急激に回復するのが常である。しかし、ほぼ全部の先進国では、2000年代後半の不況期以降、GDP成長率の急速な回復が見られない。下のグラフは、Summersが2016年2月に書いた記事と同じように、先進諸国の実質GDPの年間成長率の10年間の平均

    No, Aging Did Not Cause the Secular Stagnation. | unrepresentative agent
    yasudayasu
    yasudayasu 2017/01/27
    今回のペーパーでは、最後の仮説、つまり高齢化が進むと経済成長率が低下するという仮説をクロスカントリーデータで検証してみた結果、そのような仮説はデータでは支持されなかったということを示している。
  • Why You Shouldn't Trust Japanese GDP Numbers | unrepresentative agent: blogging about economics

    Economist誌の最新号で、GDPの問題について特集が組まれていた。 昔から言われていることとして、GDPは厚生(幸福度)の指標としてそもそも問題がある。例えば、選択肢が広がることによる厚生の向上はGDPには反映されない。また、市場で取引されないもの(家庭で行う子育て)の価値はGDPには含まれない。サミュエルソンは、誰かがその人が雇っていたお手伝いさんと結婚するとGDPは減少するという(多分ちょっと不適切な)例を彼の教科書の古いバージョンで挙げていた。 それに加え、GDPにはそういう限界があるということは受け入れたとしても、そのGDPが把握しようとしているものすらきちんと把握できているかについても問題が大きくなってきている。その問題の源泉は、サービス産業の比率が高まっていることだ。GDPはもともとどのくらいモノの生産が可能かを図るために開発され、整備されてきたものであり、サービスの生産

    Why You Shouldn't Trust Japanese GDP Numbers | unrepresentative agent: blogging about economics
    yasudayasu
    yasudayasu 2016/04/29
    たとえば確報でも速報と同じく需要側の統計を加えて推計すれば速・確報の差は縮まるだろうけど、それって統計の精度が上がったわけじゃないしなあ。英米の精度が高いのは間違いないけどユーロ圏は確報も怪しい印象。
  • Why More Households without Savings in 2013? | unrepresentative agent: blogging about economics

    舞田さん(@tmaita77)という方が、twitterに、2001年と2013年で、「貯蓄が無い」と答えた家計の割合が大きく増加しているというグラフを示していた。以下のグラフはそれを再現したものである。元になっているデータセットは厚労省が作成している国民生活基礎調査というデータセットである。3年に一回、貯蓄に関する質問が行われているので、3年おきのデータがある。以下のグラフでは、2001年と2013年の間の全ての年について示している。 ちょっと前にtwitterで投稿したバージョンでは、分母に、回答=「不詳」という人たちも入れていたのだが、片山さん(@mnchk)のアドバイスにしたがって、「不詳」の人たちを除いてみた。「不詳」の人は少ないので、どちらにしても、メッセージは同じで、2013年だけ、「貯蓄が無い」と答えた家計の割合が大幅に上昇している。この上昇は、もともと高い29歳以下の家計

    Why More Households without Savings in 2013? | unrepresentative agent: blogging about economics
    yasudayasu
    yasudayasu 2016/04/28
    2013年だけ「貯蓄が無い」と答えた家計の割合が大幅上昇している。この変化はとても面白いと思った。こういうデータに慣れていれば、これはおかしいと思うのが普通じゃないかと思ったので、面白いと思ったのである。
  • Credit and Business Cycles

    最近のNBER Working Paperで信用(あるいは負債)と景気循環についてのペーパーが2つ見られたのでちょっとまとめておく。ナイーブな理論であれば、信用(あるいは負債)の拡大というのは、金融部門がより有効に機能していることととらえることとできるので、(現在の)経済成長に良い影響を与えると考えることができる。しかし、日の1980年代後半以降の経験や、アメリカの1980年代後半の経験、及び2000年代後半の経験は、信用・負債の拡大は経済に悪い影響を及ぼしているのではないかという考えを人々の頭に植え付けている。 Mian, Sufi, Verner (2015)による最新のNBER Working Paper("Household Debt and Business Cycles Worldwide")では、30カ国(主にOECD加盟の「先進国」)の1960年から2012年にわたるデー

    Credit and Business Cycles
    yasudayasu
    yasudayasu 2016/01/23
    ある3年間の間に債務・GDP比率が上昇した場合、その後3年間のGDP成長率は低下し、失業率は上昇することがわかった。今回の結果はその後経済が景気停滞に陥ったケース以外でも成り立つ(unconditional result)。
  • Random Thoughts on Policy Recommendation

    最近、消費税の軽減税率(主に「生活必需品」と思われるものに通常より低い税率を適用すること)の話題が盛り上がっている。「経済学者のほぼ全てが反対している」というから、実施する政府は何考えているのかわからないといった感想が聞かれるが、日の政府は僕からすると何考えているのかわからない政策をたくさん実施しているので、軽減税率が導入されても特に驚かない。僕は逆に導入されなかったら驚くと思う。この手の、あまり考えなければよさそうに見える政策は常に実施されてきている。皮肉っぽく言うと、この手の政策を好む国民の代表が政府なのだから、実施されないほうが驚きだ。 では、なぜ、経済学者のほぼ全てが皆反対しているにも関わらず、実施されようとしているのか。それは、導入しないことの負の効果がわかりにくいからだと思う。軽減税率を実施した結果追加的に発生する財政負担が、他の増税、あるいは何らかの財政支出の削減という目に

    yasudayasu
    yasudayasu 2015/12/02
    軽減税率を実施した結果追加的に発生する財政負担が、他の増税、あるいは何らかの財政支出の削減という目に見やすい形であらわれない限り、「税負担が少なくなるんだからいいじゃん」という論理には勝ちづらい。
  • Minimun Wage and Consumption Response | unrepresentative agent: blogging about economics

    最低賃金がどのような影響を経済に与えるかというのは重要な問題の一つだ。最も活発に議論が行われているのは、最低賃金を上げると雇用が減少するかという問題だ。単純なモデルで考えてみよう。労働者の生産性は一定とする。最低賃金で雇われている労働者がいたとすると、その労働者を雇っていた会社は、最低賃金が引き上げられると利益(労働者の生産性と賃金の差)が減少することになる。生産性の低い労働者については、利益がマイナスになってしまうかもしれない。よって、最低賃金で人を雇っている企業は、雇用者数を減らすことが考えられる。このような状況下では、最低賃金の実施が「望ましい」か否かの判断は、最低賃金で働いている労働者の賃金が上昇するというプラスと、雇用者数が減少するというマイナスを比較して決定されることになる。現在CEA(アメリカの経済諮問委員会)の委員長をしているAlan Kruegerは、最低賃金が引き上げら

    yasudayasu
    yasudayasu 2013/06/08
    最低賃金が1ドル引上げられたとき、その翌年に最低賃金を得ている家計の収入が1四半期あたり250ドル増加した。一方で支出は1四半期あたり700ドル増加した。支出が収入より増えるということは債務が増えるということ。
  • unrepresentative agent: Heterogeneous Policy Distortions and TFP

    大学院生のときに、マクロの先生が、「これまでは家計側の異質性に焦点を当てた研究が多かったがこれからは企業の異質性に焦点を当てた研究が盛んになるはずなので、そちらの方に注力するのを薦める」といっていた。そのときにはあまり真剣に考えなかったのだが、今考えてみると、その予言は正しかったと思う。とはいえ、大学院生のころは、そのころ流行っていた研究についていくのに精一杯で、その先を見越すだけの視点がなかったのは残念だ。 最近、これとこれで、 企業の異質性に焦点を当てたペーパーを扱ったが、そのおおもとになっているペーパーはHopenhayn (ECO1992)とHopenhayn and Rogerson (JPE1993)である。今回軽く触れるのはHopenhayn and Rogersonのモデルをベースに、生産性が異なるたくさんの企業がいる経済で、ある企業を補助金で優遇して他の企業を税金によって

    yasudayasu
    yasudayasu 2013/03/19
    生産性の低い企業に補助金を与え、生産性の高い企業に40%の税金をかける政策。この場合TFPとGDPは31%も減少する。では、政府は生産性の高い企業に補助金を出し、低い企業に税金をかける。それでも非効率になる。
  • Inclusive Wealth - unrepresentative agent

    Economist誌は世の中にあるいろいろなデータ(特に国際比較)についてしばしば教えてくれる。今週号のFree Exchange(Economic Focusの方がよかったけど)で、「包括的資産」の国別比較をしたという国連のレポートを紹介していた。 このレポートでは狭義の資産(主に生産に使われる機械)に加え、天然資産(領土に埋まっている石油など)と人的資産(国民の教育レベル等)も勘案した「包括的資産」というものを主要20カ国について計算し、国同士の比較やそれぞれの国の「包括的資産」がどのように変化してきたかを分析している。細かいところは読んでいられないので、Economistにも載っていた、主要な国の比較を表にしてみた。 最初の列のIWというのが包括的資産(inclusive wealth)の指標である。どのように計算するかについては、かなりの恣意性があるので、「幸福度」とかと同じで、酒

    Inclusive Wealth - unrepresentative agent
    yasudayasu
    yasudayasu 2012/07/02
    日本は包括的資産は他の先進国に比べて多くあるけれども一人当たりGDPは少なめである。日本は豊富な資産を効率的に活用できてない。包括的資産と人口とTFPから生産関数を仮定したTFPは先進国中最低である。
  • Monetary Policy and Inequality - Part II

    前回に引き続き、"Innocent Bystanders? Monetary Policy and Inequality in the U.S." by Coibion, Gorodnichenko, and Silvia, NBER WP 2012の結果を簡単に整理する。前にも書いたとおり、このペーパーの主要なエクササイズは、Romer and Romer (AER2006)が算出した金融政策ショック(政策金利の予期せぬ(あるいは予想された以上の)引き下げあるいは引き上げと考えればよいと思う)に対する4種類(賃金収入、総収入、消費、総消費)の不平等に関する指標のインパルスレスポンスを計算することである。では、まずは賃金収入と総収入から。 上の二つのグラフは、政策金利(FFR)が1%引き上げられたとき(緊縮的金融政策)にジニ係数がどのように動くかを示している。X軸は四半期単位である。右側が

    Monetary Policy and Inequality - Part II
    yasudayasu
    yasudayasu 2012/06/29
    金利引上げの長期的な影響は少しジニ係数を引き上げる、つまり、不平等を助長する方向。内訳を見ると、賃金収入で下から10-25%の人の賃金収入は1-2%程度下がっている。反対に、上位10%の人は1%程度増えている。
  • Rant: Irrelevance of the Domar's Thorem

    最適債務レベルについてのペーパーをレビューしようとしてふと思いついたことを書いてみる。債務の話をする際によく目にするのはドーマー条件というものである。名目GDP成長率が名目金利を上回る限り債務は発散しない(よって債務は維持可能)であるというように使われることが多いようだ。ところが、これは現代のマクロ経済の研究をしている人は使わない言葉の一つだと思う。一時話題になった「非自発的失業」よりも更に時代遅れな言葉だとも言える。では、なぜ、この条件は意味がないのか?理由を考えてみた(あまり考えないで列挙したのでそれぞれダブっている)。 長期的に一定な金利や成長率という仮定自体がばかげている。 おそらくは、この条件を満たしている政府がデフォルトした例はいくつもあるはず。例えば、この条件をある一定期間満たしていても、経済をあるショックが襲えば、その政府はデフォルトに追い込まれることは十分考えられる。 「

    yasudayasu
    yasudayasu 2012/06/26
    2個目の裏、ドーマー条件を満たしてなくてもデフォルトしてない例がいくつもあるからさらに無意味さが高まる。デフォルトしないための十分条件であって必要条件ではないから当然だけど。あと動学的に非効率な点かな
  • Financial Crisis of 2007-2009 and Macroeconomy

    アメリカが金融危機を契機とする景気後退、いわゆる「Great Recession」に陥って以来、金融部門がどのように「危機」に陥るかを分析するモデル、そして金融部門(の問題)がどのようにマクロ経済に影響を与えるかを分析するモデルが大量に生産されている。もちろんGreat Recessionの重大さを考えると、これらの問題に皆が注力することは当然なんだが、あまりに玉石混合で、最近何がなんだかよくわからなくなってきている。よって、どのようなことが2007-2009年あるいはそれ以前に起こって、(特にマクロ経済学において)どのような課題が僕らに突きつけられているのかを、簡潔に整理したいと思っていた。そういうところに、"Getting up to Speed on the Financial Crisis: A One-Weekend-Reader's Guide," by Gary B. Gor

    yasudayasu
    yasudayasu 2012/02/06
    どのようなことが2007-2009年あるいはそれ以前に起こって、(特にマクロ経済学において)どのような課題が僕らに突きつけられているのかを、簡潔に整理
  • What Do Budget Deficits Do?

    最近EUを始めとして先進国での政府債務問題が深刻化している。では、政府が財政赤字を出すのは何が悪いのか。この問題に簡潔に答えたMankiwのペーパー("What Do Budget Deficits Do?" by L. Bell and N. G. Mankiw)を簡単にまとめてみる。このペーパーはカンサスシティ連銀で行われた会議での発表用に書かれたものであり、専門的な言葉をあまり使わずに書かれているが、内容は非常に深い。Mankiwの面目躍如である。特に、最後の、債務危機の部分は、現在ヨーロッパで起きている債務問題を予言しているようである。では、彼のペーパーを元に、政府の財政赤字が経済に与える効果を一つずつ見ていこう。 1. 「政府の財政赤字は国内貯蓄を減らし、投資の減少、あるいは経常収支の悪化となって現れる」 わかりやすく説明するために、マクロ経済の教科書の最初に出てくるGDPの定義

    yasudayasu
    yasudayasu 2012/02/05
    国内投資が減少し、資本が相対的に希少になると、資本の生産性が上がる。労働力は相対的に希少でなくなるので、賃金は減少する。もし資本が比較的少数の人によって保有されているとすれば、収入格差が拡大する。
  • Disaster Risk and Business Cycles

    いつか読もうと思ってずっとかばんに入っていつつもなかなか読まなかった論文なのだけど、AERに出ると最近聞いて、読む気になった論文("Disaster Risk and Business Cycles" by Francois Gourio)を軽く紹介してみる。 よく、新聞やテレビなどで、「景気後退期に入る確率が高まっている」とか、「今や景気後退期に入る確率は50%を超えた」とかという表現を聞くが、この確率の意味するところは、天気予報の降水確率と同じで僕にはよくわからない。こういう確率、特に、大幅な景気後退(=Disaster、いい訳が思いつかない・・・)に経済が陥る確率をきちんとモデル化し、RBCモデルに取り込んだのがこのペーパーである。この修正によって、普通のRBCモデル(+DSGEモデル)の特徴(マクロ変数の動きをうまく再現できている)は維持されつつも、これらのモデルではうまく再現でき

    yasudayasu
    yasudayasu 2012/01/07
    "Disaster Risk and Business Cycles" by Francois Gourio
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