今の場所に引っ越しをして二度目の冬がやってくる。 今年は暖冬のせいか、ここ北国にも全く雪が積もっていない。 家の前に今年の春、気まぐれに植えたマリーゴールド。 夏の間は暑さで全然元気がなかったけれど、先月季節を勘違いしたように咲いていた。 そろそろ種を採ろうとしたが、まだ種は青々として枯れていなかった。 私は大人になってから、花があまりにも勢いよく咲いているのをみると よく分からない不安な気持ちがこみあげるようになった。 美しい花を見ていると、そのひたむきでけなげな姿が愛おしいような、恐ろしいようなどちらともつかない感情になる。 物を言わない花や木。 幼い頃、火葬場の敷地に咲くたくさんの花に囲まれて育った。 すべて町の所有物で、坪庭や花壇は母が管理していた。 松の木の剪定は父がしていた。 庭に咲く香りの良い撫子。 名前が分からずコケコッコの花と呼んでいたあちこちに咲くタチアオイの花。 地蔵