母になり、父の気持ち分かった東日本大震災の津波で犠牲になった岩手県陸前高田市職員で学芸員だった佐藤正彦さん=当時(55)。亡き父へのさまざまな思いを抱えながらそれぞれの人生を歩んでいる佐藤家の人たちを取材したのは約1年半前。あの日から5年を迎えるのを前に佐藤家を再び訪れた。 ■ ■ 正彦さんの研究資料を展示した特別企画展「海に生きた歴史」が6日まで岩手県立博物館(盛岡市)で開かれている。2月14日、大学進学などで別々に暮らす佐藤家の人たちがそろって亡き父の展示を見学した。家族全員がそろうのは1年ぶりだ。 企画展に足を運んだのは正彦さんの妻、きみえさん(55)=陸前高田市、長男の征平(まさひら)さん(23)=東京都町田市。次女の梨衣(りえ)さん(19)=仙台市。陸前高田市できみえさんの近くに住む長女の史乃(しの)さん(26)は4年前に結婚した夫の荻原祥希(しょうき)さん(27)と、昨年7