学芸員の仕事をちょっとご紹介―。 とある美術館から大名家に伝わっていた有名な安南茶碗(あんなん・ちゃわん=茶道で使われていたベトナムの茶碗)を拝借したことがあります。他に類のない名碗です。「ぜひとも拝借して展示したい」というわけでした。 学芸員も値踏み… こういう場合、借りる前にまず出品交渉に行きます。電話や手紙では相手にされません。遠かろうが出掛けて行って、展覧会の内容や借用する茶碗の展覧会での位置づけ、借用の体制などを説明します。あちらの学芸員さんは、説明をするこちらの学芸員の様子を分析して、貸すに足りる展覧会か、信用できる館かどうか値踏みをするのです。たいていは事前に情報網を使ってリサーチ済みで会ってくれるのは脈ありというわけ。いい加減な館に貸すと思わぬ事態が起きる、と用心するのが常識なのです。 事前調査に調書、保険 OKが出たら、借りに行く少し前に、事前調査に伺います。あちらの学芸