『経済論戦の読み方』や『エコノミスト・ミシュラン』など、いろんな意味で物議を醸す著書を出すのが大好きな田中氏が、また何か書いている。 「歴史に学ぶ」といいつつ、一見、格差社会などホットな話題を前面に立てているように見える。が、そもそも経済政策は連続したものであり、単独の政権や特定の有力者(政治家や官僚を問わず)の政策方針だけに依拠しているものではない。その状況ごとに対処していこうとする試みをするほどに、日本社会がさまざまな影響を受け変容していく以上、歴史や文化の背景から経済を読み解かなければあまり正しい考察まで辿り着かない、ということになる。 格差社会にしても、いままでさまざまな経済学的立場から解説が加えられてきたが、概ね「格差といっても、結構昔から兆候ってあったよね」というあたりは一致している。さらに、小泉政権の構造改革と一口に言っても政権が転換しようと考えた経済状況を引き起こしたメ