残暑が厳しい2014年9月、太田さんは、修繕に必要な部分をチェックするため、マンション内をくまなく見て歩いていた。管理組合でマンションの定期的な修繕工事の準備を担当する大規模修繕委員を務めていたからだ。 同マンションの四つの棟のうち、西棟と中央棟をつなぐ渡り廊下に差し掛かると、西棟側の手すりの位置が微妙に下がっていると感じたのだ。 これが後々、杭のデータ偽装と施工不良による横浜の“傾斜マンション”として、新聞、雑誌、テレビなどで大々的に報道されることになる。さらには、全国的に広がった杭のデータ偽装問題の発端でもあった。 問題となったパークシティLaLa横浜は、横浜市都筑区にあり、2007年11月に完成。地上12階建て、705戸、4棟から成る分譲マンションだ。隣接する大規模ショッピングセンター「ららぽーと横浜」と一体で開発され、保育園も併設されている。 販売元は三井不動産の子会社である三井不