土曜日。余程の事由がない限り欠席するなど言語道断である新年会が予定されておったので万難を排してこれに出席した。ステージで晴れやかな笑顔を見せて新年の挨拶をする遠縁にあたる地元の名士が場を温めようと発した一言が、存外に出席者の一人に牙を剥いて温めるどころか怒り心頭な温暖化現象をもたらした。とはいえ一族郎党の領袖に向かい「貴様、先の失言まかりならん」と苦言を呈する者もおらず、自浄作用よろしくそれは「なかったこと」として宴は恙無く進行していき、ぼたん鍋や栄螺の刺身などを食らって「うほほ、うほうほ」などと喜んでいるうちに中締めの挨拶があり、〆のうどんをようやく鍋に入れたところで他の出席者は「うどんのような瑣末な食い物などに興味はないでおじゃる」と言わんばかりにそそくさと席を立ち、ようやく煮えたうどんをはむはむ食していると気付けば遭難者のようにポツンと会場の真ん中に取り残されておった。慌てて上着を羽