2011年5月18日のブックマーク (1件)

  • 連休の繭 - 傘をひらいて、空を

    連休中はどうしてたと訊くと、彼女はうっとりと笑い、なんにも、と言った。なんにもしなかったし、どこにも行かなかった。私はすぐにことばが出てこないときいつもそうするように自分の指先をながめた。そこを走る神経に電気が流れ、それが脳に到達するところを想像した。 彼女はもう一度、さっきより淡く笑った。お風呂上がりみたいな顔してる、と私は思う。きれいにお化粧して、髪をカールさせて、骨の細さがそのままわかる足首から先には工芸品めいたハイヒールシューズをぴたりと張りつけて、でもやっぱり、お風呂上がりみたい。 ここしばらく、私は彼女を気にかけていた。彼女はいつか言っていた。任意の晩ごはんはあと一万回くらいしかないのに、その貴重な一回をどうしてないがしろにできるの。任意の晩ごはん、と私は繰りかえした。その一度たりともあきらめたくない人がこの世にはいるのだ。彼女は一人暮らしだけれど、自宅での料理を欠かさない。外

    連休の繭 - 傘をひらいて、空を
    yoneyacco
    yoneyacco 2011/05/18