あいちトリエンナーレ2013は、これまで開催された国内の国際展のなかでも、もっとも明白なテーマ性と特色を打ち出していたのではないだろうか。会場となる建築や街を背景に、その特色を活かしながら、3.11というテーマが、一様にではなく多様な文脈のなかでみせられていた。 今回は名古屋市外の岡崎会場が増え、大きく五つのエリアに分かれているが、来場者がまず足を運ぶのは、栄の愛知芸術文化センターだろう。展示の内容からしても、ここが今回のブレーンのように思える。まず1階に足を踏み入れると、床面と壁面にカラーテープで図面が描かれている。どの階に行ってもこの図面に出くわすことになるのだが、これは建築家・宮本佳明による福島第一原発の原子炉建屋を、原寸台で建物内にトレースしたものである。そこから10階に上がって8階に降りると、爆発した原子炉建屋の、あの青空に雲を描いたような壁面の一部が再現されている。それを横目に