こんな世界に生きていると、もう一度、赤ん坊だった頃に戻って、オギャアオギャアと泣いてみたくもなるものだ。自分のなかに生まれる様々な感情や欲望を、「言葉」というまどろっこしいツールでそれっぽい形に切り取って満足してしまう前の、あの頃のやり方。自分の全てをわかってほしくてオギャアオギャアと泣き叫ぶ、そんな嘘のないやり方で、世界ともう一度コミュニケーションを取ってみたいものだ。……と考えてみたところで、教育を受け、言葉を覚え、人と人との社会で生きている以上、そんなことはできっこないのだけれど。しかし、自分も生まれてきた以上、一度は、そうやって世界と対峙した瞬間があったのだと思うと(覚えていないけれど)、なんとも遥かな気持ちになってくる。 眉村ちあきの2ndアルバムのタイトルは、『劇団オギャリズム』と名づけられた。眉村ちあきを見ていて時折抱く気持ちと、赤ん坊だった頃を思って抱く遥かな気持ちは、もし