リーダーには、二者択一の選択を迫られる機会が多くある。板挟みになった時、どちらかを選ぶのは自然な流れだが、筆者らによれば、優れたリーダーは「どちらも」選ぶ発想を持っているという。この「パラドックス思考」の持ち主は、緊張状態をみずから望み、創造的に解決する。結果、仕事への活力と満足度が高まるという好循環を生む。本稿ではパラドックス思考の方法論を具体例を引用しながら解説する。 二者択一の発想を捨てる 大小を問わず組織を率いていると、相反する要求の綱引きに巻き込まれ、身動きが取れなくなることもあるだろう。現行の製品への集中を失わずに、革新や変化を起こすにはどうすればよいか。持続可能なビジネスを構築しつつ、利益を上げるにはどうすればよいか。予算を使い過ぎずに、優秀な人材を採用するにはどうすればよいか。 このような問題には共通するテーマがある。今日か明日か、使命か市場か、生産性かコストかなど、相反す