2015年6月、中央ヨーロッパ・スロバキア共和国首都、ブラチスラバ近郊のスロバキアリンク。 技術陣からのプレゼンテーションを受け、ピットレーンにずらりと並んだCIVIC TYPE Rを 目の前にしてなお、欧州各地から集まったジャーナリストたちの中には 「理解はできても納得はできない」といった風の表情を浮かべた者が少なくなかった。 「ターボエンジンがパワフルなのは、プレゼンテーションを通じてよくわかった。 でも、人々がHondaの『TYPE R』に期待しているのは、そういうものの他にあるのではないかな……」 エンジンの開発チームたちは、そのジャーナリストの言わんとするところをすぐに理解した。 「ご心配はごもっともです。でも、まずは走ってみてください。お戻りになったらまたお話をしましょう」 ピットロードを走り去っていくCIVIC TYPE Rの後ろ姿を見守りながら、エンジン開発陣は目配せを交わ