中学校のサッカー部一筋で、20年間順調に指導を続けてきた先生が、突如、身体を壊した。異動先の中学校で、どうしてもサッカー部をもつことができず、バスケットボール部の顧問になったことがきっかけだった。 サッカーは好きな競技ではあったが、けっして高度な技術指導ができたわけではない。だが、何年も続けるなかで指導のコツもわかってきた。チームはいつのまにか、県大会の常連になるまでに力をつけていた。 チームが強くなると、地域で名の知れたサッカー部顧問とも仲良くなっていく。常勝チームの顧問たちが集まる飲み会に参加する。次々と、練習試合のオファーが入ってくる。最高に気分がよく、土日もつぶして部活動にのめり込んでいった。 5年前のこと、別の中学校への異動が決まった。 これまで複数の中学校を異動してきたけれども、ずっとサッカー部一筋できた。ところが異動先では、バスケットボール部の顧問を担当してほしいと言わ