現在、世の中に実用化された、人間やそれに準ずる高等生物に匹敵するような知能を持ったコンピュータ・システムは存在しません。現在のコンピュータ・システムは、特定の分野の処理能力に長けていて、それが人類や社会の発展に寄与してきただけです。だから、道具です。 さて、知能とは何でしょうか。 情報を集め、処理し、分析し、考え、判断して、行動する。この一連のプロセスを総合して我々は知能と呼んでいるはずです。 現存する人工知能とは、こうした高度なプロセスを目指して研究開発をしているものがほとんどです。だからこそ、要素技術を組み合わせて出てきた「特定の領域に強い新しい情報処理」のことを人工知能と呼んでいるのでしょう。そもそもの開発思想がそのようなわけですから、それをさして人工知能というのは結構なことだと思います。 ただし、IBM Watsonはそのような開発思想は持っていません。非構造化データを中核に、膨れ