ブックマーク / book.asahi.com (98)

  • イスラエルはどうしてあんなにひどいことができるの? 早尾貴紀——前編|じんぶん堂

    記事:平凡社 パレスチナ・イスラエル問題に関するオンラインセミナー「パレスチナ連続講座」に登壇する東京経済大学教授の早尾貴紀さん 書籍情報はこちら ヨーロッパ植民地主義を反復するイスラエル イスラエルは1948年の建国の際に、およそ500のパレスチナの村や町を破壊し、住んでいた人々は難民となって周辺の地域に逃れました。とりわけガザ地区は住民の70%以上が難民という状況が生じました。 1967年から軍事占領されたガザ地区では、抵抗運動とそれに対する弾圧、空爆や侵攻も繰り返されてきました。2000年代からは陸海空の封鎖が強化され、ガザ地区は外部との出入りがほぼできない「巨大監獄」のような状態に置かれています。2023年10月7日の武装蜂起は、このような軍事占領に対する最終的な一斉蜂起、最後の抵抗でした。 それを受けてイスラエルは大規模な空爆、侵攻、虐殺を始めました。抵抗運動を組織してきたハマー

    イスラエルはどうしてあんなにひどいことができるの? 早尾貴紀——前編|じんぶん堂
  • 「ジャズ大名」千葉雄大さん×藤井隆さん対談 生演奏で踊る時代劇「チャレンジングな舞台になりそう」|好書好日

    千葉雄大さん(左)と藤井隆さん=篠塚ようこ撮影 維新の嵐が吹き荒れる江戸末期、アメリカの南北戦争が終結し、解放された黒人奴隷が故郷のアフリカを目指して船に乗り込むが、日の小藩に流れ着いてしまう。鎖国の世、外国人の取扱いに困る藩の役人らは彼らを座敷牢に閉じこめておくが、好奇心旺盛な藩主・大久保教義(千葉雄大)は彼らの奏でる楽器の音に夢中になり、家老・石出九郎左衛門(藤井隆)の制止も聞かず、次第に城中を巻き込んでジャム・セッションを繰りひろげていく。 ジャズを奏でるように身体表現 ――今回の台を読んだ感想を教えてください。 千葉:シンプルに面白かったですね。役者の動きを指定するト書きも今まで見たことがないもので、例えば自分の「ああ」というセリフは「射精した後のような」とあったり(笑)。大団円の場面では出来事と感情の連なりが書かれていて、まるで絵が浮かぶよう……というのは言い過ぎましたが、そ

    「ジャズ大名」千葉雄大さん×藤井隆さん対談 生演奏で踊る時代劇「チャレンジングな舞台になりそう」|好書好日
  • 「君たちはどう生きるか」宮崎駿監督が、新作映画について語っていたこと。そして吉野源三郎のこと|好書好日

    宮崎駿監督の新作「君たちはどう生きるか」ポスター=スタジオジブリのTwitterより 「私自身、訳が分からない」 「おそらく、訳が分からなかったことでしょう。私自身、訳が分からないところがありました」。 2023年2月下旬、東京都内のスタジオで上映された、「君たちはどう生きるか」の初号試写。米津玄師の歌うピアノバラードが流れ、エンドロールが終わった瞬間、灯りが点き、宮崎駿監督のコメントが読み上げられた。 客席から軽い笑い声が漏れた。私もその一人だった。あまりの展開の速さと、盛り込むだけ盛り込まれた情報を消化しきれず、茫然と座り込んでいたが、その言葉で我に返った。 これは「宮崎アニメ」の集大成なのか、吉野源三郎の著書『君たちはどう生きるか』の再解釈なのか。とにかく、1回見ただけではとても全容を把握できなかった。 「自分のことをやるしかない」 今回の作品は、公開前のプロモーションも、メディア関

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  • ホラー作家・芦花公園さんの根底にあるキリスト教|好書好日

    この連載も最後のようで、最後のテーマは自由ということなのですが。 好きとかそういうレベルではないものの話をしようと思います。 私はキリスト教の信者だ。 カトリック教会で幼児洗礼を受けていて、高校生の時には堅信も受けており、まあ筋金入りのクリスチャンということになると思う。 今でこそダラダラとした生活を送っているが、大学に入ってからの何年かはずっと忙しく、日曜礼拝どころか年によってはクリスマス礼拝まで逃すような状態だったわけだが、やはり自分の根底にはイエスキリストが存在すると思っている。 と、このようなことを話すと一部の人から忌避感を持たれるのも理解している。 日人は基的に無宗教というか多宗教の人が多い。 結婚式はチャペルで、葬式は寺で、初詣は神社に行くだろう。 特定の宗教の信者を見ると、「カルト」を連想する人も多いようだ。 実際カルト宗教団体というのは存在するし、その中にはキリスト教系

    ホラー作家・芦花公園さんの根底にあるキリスト教|好書好日
  • 「男社会をぶっとばせ!」書評 「女版野郎ども」におくるエール|好書好日

    男社会をぶっとばせ!反学校文化を生きた女子高生たち 著者:梶原 公子 出版社:あっぷる出版社 ジャンル:社会・時事 「男社会をぶっとばせ!」 [著]梶原公子 90年代の女子高生というと援助交際にコギャル、記号的に語られるのが常だった。また近年は、深刻な貧困を生きる少女たちのルポも多数出版されている。その一方で、「普通」の女性たちの人生が書籍にまとめられることは少ない。 書は、ある地方都市の県立女子高校に勤めた元教員による手記である。体罰も辞さない80年代の管理教育の終焉(しゅうえん)から、自由な校風に改まった90年代半ばまで。あのころ輝いていた、勉強が嫌いで素行も悪い、底辺校の女子高生たちの実像をふり返っていく。 英国の労働階級の少年たちを調査した『ハマータウンの野郎ども』にならい、著者は敬愛を込めて〈女版野郎ども〉と呼ぶ。彼女たちはいとも容易(たやす)く教師たちの高邁(こうまい)な志を

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  • 特別公開:坂本龍一さん3万字インタビュー後編「この日本という国では『やめる』という決定を誰もできない。撤退ができない国なんです」|じんぶん堂

    記事:平凡社 坂龍一さん(2013年5月撮影) 撮影:榎佳嗣 書籍情報はこちら 【前編はこちらから】特別公開:坂龍一さん3万字インタビュー前編「音楽の大きなテーマは、亡くなった者を悼むということ」 震災のことは、一日も忘れたことはない ――東日大震災からすこし時間が経って(インタビュー時は2013年)、社会が平熱に戻った感じがします。被災地では、被災地だからこそ「ようやく震災や原発のことは考えず穏やかに過ごせる時間が増えた」という方もいるようですね。 坂:うーん……。僕は、忘れるという感じはまったくありません。 ――時間が経つにつれて、ふだんの暮らしと「変えていかなくちゃ」という気持ちとをどう両立させていくのかが大切なテーマだと考えるようになってきました。安倍政権に代わってから「原発を動かそう」というムードが強まっていますよね。けれど「どんなふうに暮らしていけば、おなじことを二度

    特別公開:坂本龍一さん3万字インタビュー後編「この日本という国では『やめる』という決定を誰もできない。撤退ができない国なんです」|じんぶん堂
  • 特別公開:坂本龍一さん3万字インタビュー前編「音楽の大きなテーマは、亡くなった者を悼むということ」|じんぶん堂

    記事:平凡社 坂龍一さん(2013年5月撮影) 撮影:榎佳嗣 書籍情報はこちら バッハの「マタイ受難曲」を聴くと、まさに「音楽に救われる」という感じがする ――東日大震災と原発事故はだれしもにとってたいへんショッキングなできごとだったと思います。坂さんはどうお過ごしでしたか。 坂龍一:うーん……、直後はやっぱり、音楽を聴く気になれませんでした。 ――音楽家の方でも、音楽が聴けなくなるんですか。 坂:ええ、(音楽家には)きっとそういう人は多いと思いますよ。それで、ずいぶんと経ってから……、ひと月ほど経ってからかな、やっと聴いてみようかなと思ったのは。 ――そのときに、慰めや励ましになったもの、あらためて立ちかえったものってありますか。 坂:それは、やっぱりどうしてもバッハの「マタイ受難曲」です。僕のまわりの音楽好きでも同じようにいう人は多いけれど、やっぱり特別な曲ですね。「また

    特別公開:坂本龍一さん3万字インタビュー前編「音楽の大きなテーマは、亡くなった者を悼むということ」|じんぶん堂
  • 「傷ついた人が見せる残酷さを描きたかった」 新世代ホラーの旗手・芦花公園さん「とらすの子」インタビュー|好書好日

    芦花公園さんが大好きなキャラクター「ちいかわ」と芦花公園さんの作品=人提供 芦花公園(ろか・こうえん)作家 東京都生まれ。ウェブ小説サイト「カクヨム」で公開していた「ほねがらみ――某所怪談レポート――」が話題を呼ぶ。2021年同作を改稿した『ほねがらみ』でデビュー。他の著書に『異端の祝祭』『漆黒の慕情』がある。現代のホラーシーンを代表する書き手のひとり。 依頼は「怖いものを書いてください」 ――芦花さんの新作『とらすの子』がホラーファンの間で話題です。デビュー作『ほねがらみ』から通算4作目、ミステリやホラーの老舗版元・東京創元社からは初めて刊行された作品ですが、執筆にあたってどんなことを意識されましたか。 編集者さんからはただ「怖いものを書いてください」とだけ言われていました。格ミステリを書こうとかは一切考えなくていいので(笑)、真剣に怖いものを書いてくれと。それもあって完全に〝悪いも

    「傷ついた人が見せる残酷さを描きたかった」 新世代ホラーの旗手・芦花公園さん「とらすの子」インタビュー|好書好日
  • 「素人」が「投稿」し、自ら動員される参加型ファシズム 大塚英志『大政翼賛会のメディアミックス』|じんぶん堂

    記事:平凡社 書籍情報はこちら 「翼賛一家」というまんがが、戦時下にあった。昭和十五年末から、多くの新聞、雑誌に連載され、単行もいくつか出た。レコード化、ラジオドラマ化、小説化などもされた。これは今のことばで言えばメディアミックス作品である。 書はこの「翼賛一家」のメディアミックスについて考えるものである。(中略) 「翼賛一家」が戦時下における政治的動員の手段として意図され、仕掛けられた「メディアミックス」であった点は書で検証していくが、それまでの多メディア展開と異なる点が大きくいって三つある。 一つ目は、これがあらかじめ多メディア展開を想定したものである、ということ。つまり、最初から「メディアミックス」という企画であったということ。「翼賛一家」の場合、同名のまんがなり小説なり、何かまず一つのメディアで「原作」に相当する作品が大ヒットし、その人気に便乗する形で二次的にアニメーションや

    「素人」が「投稿」し、自ら動員される参加型ファシズム 大塚英志『大政翼賛会のメディアミックス』|じんぶん堂
  • BTSはビートルズかもしれない 「アメリカ音楽の新しい地図」大和田俊之さんインタビュー|好書好日

    大和田俊之さん 大和田俊之(おおわだ・としゆき) 慶應義塾大学法学部教授。専門はアメリカ文学、ポピュラー音楽研究。『アメリカ音楽史——ミンストレル・ショウ、ブルースからヒップホップまで』(講談社)で第33回サントリー学芸賞(芸術・文学部門)受賞。長谷川町蔵との共著に『文化系のためのヒップホップ入門』(アルテスパブリッシング)。最新刊は『アメリカ音楽の新しい地図』(筑摩書房)。 それは文化の盗用じゃないか? ――『アメリカ音楽の新しい地図』では、2010年代のポピュラー音楽からアメリカ社会を分析されていますが、書を読んでその複雑さを改めて痛感させられました。 僕は2011年に出した『アメリカ音楽史』で、“アメリカのあらゆる音楽――とりわけアフリカアメリカ人の音楽がヒスパニックの貢献を強調する歴史に書き換えられていくはずだ”と予想しました。実際アメリカのヒスパニック人口は増えた。2016年

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  • 65歳から“船を出す”情熱 たらちねジョン「海が走るエンドロール」(第129回)|好書好日

    ヒロインのうみ子は65歳の未亡人。数十年ぶりに訪れた映画館で海(カイ)という映像専攻の美大生と出会った彼女は、自分の中に眠っていた「映画を撮りたい」という思いに気づき、やがて海と同じ美大に入学する――。「月刊ミステリーボニータ」(秋田書店)連載中の『海が走るエンドロール』(たらちねジョン)は、「このマンガがすごい!2022」(宝島社)オンナ編で、2位作品に2倍の点差をつけてぶっちぎりの第1位に輝いた話題作だ。 担当編集者の「高齢の女性を主人公に」というアイデアと、「映画を軸にした話を作りたい」という作者の意向から生まれた作品らしい。ここ数年、『たそがれたかこ』(入江喜和)や『傘寿まり子』(おざわゆき)など中高年女性を主人公にしたマンガは増えていたが、作は65歳のヒロインが気楽な「老後の趣味」ではなく、気で映画制作を志して美大に入学することに強烈なインパクトがあり、多くの読者の心を動かし

    65歳から“船を出す”情熱 たらちねジョン「海が走るエンドロール」(第129回)|好書好日
  • ぺこみそ「スパゲッティのうた」インタビュー 主役はスパゲッティ、はらぺこ節が炸裂|好書好日

    (写真左から)DJみそしるとMCごはんさん、「はらぺこめがね」の原田しんやさん、関かおりさん はらぺこめがねイラストレーター、絵作家 1983年徳島県生まれの原田しんや、82年大阪府生まれの関かおりによる夫婦イラストユニット。どちらも2005年、京都精華大学デザイン学科卒業後、グラフィックデザイナーを経て08年にイラストレーターとして独立。11年、はらぺこめがねを結成し、「べ物と人」をテーマに活動を続ける。主な絵に『かんぱい よっぱらい』(岩崎書店)、『ごはん山』(白泉社)、『はらぺこサンタのクリスマス』(ほるぷ出版)などがある。 http://harapekomegane.com/ DJみそしるとMCごはん(通称:おみそはん、みそちゃん) 1989年、静岡県生まれ。女子栄養大学卒業。「おいしいものは人類の奇跡だ!」をモットーに、トラック、リリック、アートワーク、ミュージックビデオな

    ぺこみそ「スパゲッティのうた」インタビュー 主役はスパゲッティ、はらぺこ節が炸裂|好書好日
  • 川本直さん「ジュリアン・バトラーの真実の生涯」インタビュー 知られざる異色作家とは|好書好日

    トルーマン・カポーティら米国文学史を彩る作家たちと交流した「異色の作家」ジュリアン・バトラー。その生涯をたどる作品だ。 女装したジュリアンはスキャンダルを起こしながら、名作を多く残している。同性同士の性交が犯罪とされていた1954年刊行の『ネオ・サテュリコン』は、クィア文学の先がけだ。ディオールのドレスで女装した主人公は、ウラディミール・ホロヴィッツのコンサート中にパートナーと交わる。雑誌掲載されると、批判が嵐のように巻き起こった。 これほどの作家なのに日では1文字も紹介されてこなかった。なぜなら、実在しないからだ。 架空の作家を創造した原点は、15歳のころにさかのぼる。米国の作家ゴア・ヴィダルにはまった。枕草子や孔子にまで至る教養の深さにひかれ、原書を買いあさった。海外文学には小学3年生のころに出合っていた。父親に強制的に読まされたのがヘルマン・ヘッセの『車輪の下』。「ろくでもないだろ

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  • 「知能の遺伝率は80%」――この事実は何を意味するのか? ふたご研究シリーズ第1巻『認知能力と学習』|じんぶん堂

    記事:創元社 ふたご研究の全貌を主要なテーマごとに紹介 書籍情報はこちら 「遺伝率」とは? 「知能の遺伝率が80%だったら、これまで受験勉強のためにやってきた自分の努力なんて、ほとんど意味がないんだとがっかりしました」。大学1、2年生を対象とした心理学の入門講義で、遺伝と環境の関係について話したあとによく見られるコメントである。ここに含まれる勘違いを解き明かし、シリーズの続く巻への準備も整えることが巻の目的である。いったい何が勘違いなのか考えつつ、巻の構成を説明してみたい。 第1に「遺伝率」という概念が正しく理解されていない。知能の遺伝率が80%であることは、ある人の知能の80%が遺伝で決定されていて、残りの20%が努力によって決まるということを意味するものではない。知能に見られる人と人との違い(個人差)のうち80%が人と人との遺伝の違いによること、専門用語を用いれば表現型分散の80

    「知能の遺伝率は80%」――この事実は何を意味するのか? ふたご研究シリーズ第1巻『認知能力と学習』|じんぶん堂
  • 柚木麻子さんをしびれさせた曲、ともさかりえ「カプチーノ」 2000年代を連れてきた椎名林檎との最強コンビ|好書好日

    HOME コラム 大好きだった 柚木麻子さんをしびれさせた曲、ともさかりえ「カプチーノ」 2000年代を連れてきた椎名林檎との最強コンビ 「カプチーノ」は1999年1月27日にリリースされたともさかりえ7枚目のシングルCD、今ではなつかしい8cmの短冊型だ。イントロはボサノバで、ソフトロックに転調していく。なかなか会えない恋人へのやきもきを、おしゃれかつセクシーに、それでいて愚直に歌っている。私は92年放送「コラ!なんばしよっと」時代から現在に至るまで、ともさかりえのファンを続けているが、その情熱を支えている一因がこの名曲だ。作詞作曲はシーナ・リンゴ名義の椎名林檎。デビュー二年目、業界の期待が高まりに高まっていた時期だ。この出会いをきっかけに、二人が親友になったのはファンの間では有名な話だ。椎名林檎はともさかりえを最初に見た時に「なんて美しくてなんて悲しい形をしているんだ」と思った、とどこ

    柚木麻子さんをしびれさせた曲、ともさかりえ「カプチーノ」 2000年代を連れてきた椎名林檎との最強コンビ|好書好日
  • ホロコーストは近代文明の産物か ジグムント・バウマン『近代とホロコースト』から読み解く近現代社会|じんぶん堂

    記事:筑摩書房 "File:Re-publica 2015 - Tag 3 (17404674595) (cropped).jpg" by re:publica from Germany is licensed with CC BY 2.0. To view a copy of this license, visit https://creativecommons.org/licenses/by/2.0 書籍情報はこちら ホロコーストはなぜ起こったのか。600万人にもおよぶユダヤ人の大量殺戮はどうして可能になったのか。この問題に社会学の立場から取り組んだのが、ジグムント・バウマンの手になる書『近代とホロコースト』である。彼の回答はきわめて明確である。ホロコーストは近代文明の所産であり、近代官僚制の働きがなければ生じえなかったというのだ。「『最終的解決』はいかなる段階においても、効率的・効

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  • 関ケ原の前哨戦「小山評定」は史実か 家康支持の軍議めぐり研究活発|好書好日

    「小山評定」は現在の小山市役所にあたる場所で行われたという。現地には碑が残る 小山評定をめぐる謎の一つが、7月25日とされる評定の後、「石田を討つ」と決した軍勢が西上したにもかかわらず、家康自身は8月4日まで小山を動こうとしなかったことだ。 宇都宮と往来? その理由については従来、「西国からの詳報を待っていたのでは」などとされてきたが、江田郁夫・栃木県立博物館副館長はこのほど、家康はずっと小山にいたのではなく、三十数キロ離れた宇都宮との間を行き来していたのではないか、との仮説を発表した。 江田氏がその傍証としてあげるのが、関ケ原合戦から5年後の1605年に家康が宇都宮大明神(現在は宇都宮二荒山神社)を再建していることだ。宇都宮二荒山神社には、家康の名前と征夷大将軍という官職名が刻まれた建立時の擬宝珠(ぎぼし)(手すりの柱に取り付けられた飾り)が今も残る。 「家康は小山評定の後、上杉攻めの

    関ケ原の前哨戦「小山評定」は史実か 家康支持の軍議めぐり研究活発|好書好日
  • メディアに包囲された日常を批判するために 『記号論講義 ―日常生活批判のためのレッスン』|じんぶん堂

    記事:筑摩書房 書籍情報はこちら 意味批判とは何か このは「意味批判」の書です、というと、 え、意味批判?、うーん、むずかしいことを言うね、と思うでしょうか。 コトバや文字や絵や写真や映画テレビ音楽がつくりだしている「意味」の世界を考えるというのがこののテーマです。 人間の意味の世界を生みだす要素のことを「記号論」では「記号」と呼ぶのです。 現代人の生活では、意味を生みだす活動の多くはメディア技術にサポートされています。メールをおくったり、チャットしたり、電話をかけたりというコトバや文字のやりとり、映画テレビや動画サイトでのイメージのやりとりのように、現代人はメディアを使ってコミュニケーションして生活しています。 書は、そのとき何が起こっているのかを学問的に理解する方法の手ほどきをします。それが「意味批判」の方法序説です。でも抽象的な議論ではなく、読者の皆さんに実感してもらうた

    メディアに包囲された日常を批判するために 『記号論講義 ―日常生活批判のためのレッスン』|じんぶん堂
  • 映画版「82年生まれ、キム・ジヨン」は、なぜラストに希望を描いたのか? 作家アルテイシアさんが見た原作との違い|好書好日

    © 2020 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved. 韓国で130万部を超える大ヒットとなり、世界25か国で翻訳され、日でもベストセラーになった『82年生まれ、キム・ジヨン』(筑摩書房)。この小説について女同士で話していると「読んでよかった…けど、しんどい」という言葉が出てくる。これはオタクが言う「推しが尊すぎて、しんどい」ではなく「あるあるすぎて、しんどい」という意味だ。 76年、神戸生まれのアルテイシアも「これって私の話だっけ??」と脳がバグるぐらい、この小説にはリアルな女の苦しみや絶望が詰まっている。「リアル過ぎて吐いた」と語る友人もいる。 「ただでさえ現実がしんどいのに、これ以上しんどくなるのは無理」と小説を読まない友人もいる。そんな彼女らにぜひ映画版をお勧めしたいところだが、映画版も大概しんどい。 © 2020 LOTTE ENTERT

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  • 未だ衰えない職人の技 津村記久子さんが14歳で出会った音楽・ボブ・モウルド|好書好日

    十四歳から二十五年以上、習慣的に音楽を聴いている。ジャンルで聴いたり、歌詞のついている曲なら歌手の声質で聴いたりするところもあるんだけれども、最終的には曲のメロディそのものが好きかどうかで聴いている。曲を作る人がとにかく大事だ。 二十歳までに出会っていて、今も聴いていて、いちばん好きな曲を作ってくれる人というとボブ・モウルドだと思う。もちろん、ノエル・ギャラガー(元オアシス)もビリー・ジョー・アームストロング(グリーン・デイ)も高校生の時にはすでにいたけれども、「この人は自分の好きな曲を作る」と最初に確信したのはボブ・モウルドだった。 ボブ・モウルドは、わたしが生まれた頃にハスカー・ドゥというハードコアパンクのバンドを始めた人で、それから十年ぐらい後、つまりわたしが十三歳とか十四歳の時に隆盛した、ニルヴァーナやパール・ジャムやマッドハニーに代表されるグランジに大きな影響を与えたそうだ。ハー

    未だ衰えない職人の技 津村記久子さんが14歳で出会った音楽・ボブ・モウルド|好書好日