オキシトシンが様々な社会行動にポジティブな影響を有し、一過的ではあっても自閉症の症状を和らげることはよく知られており、このホームページでも紹介してきた。たしかに連れ合いへの信頼が深まったり、人付き合いがよくなったりと、行動学的現象は面白いが、この背景にある神経活動を研究するのは難しい。今日紹介するニューヨーク大学からの論文は子供をケアする母親の行動に対するオキシトシンの作用を神経科学的に研究した力作でNatureオンライン版に掲載された。タイトルは「Oxytocin enables maternal behaviour by balancing cortical inhibition(オキシトシンは皮質神経の抑制活性のバランスをとることで母親としての行動を可能にしている)」だ。マウスを飼い始めると誰でも気づくが、初産の母親は子供のケアが下手だ。ケージ交換時、子供はどうしてもバラバラに移さざ