量子力学との出会いは大学2年生の春。恐れ知らずにも物理学を専攻しはじめていた私は、この科目の講義を楽しみにしていた。「シュレーディンガーの猫」(…生きていて、なおかつ死んでいる猫?)や「トンネル効果」(…物体が壁をすり抜ける現象?)など何やらミステリアスな量子力学について、ついに理解するときがきた! しかし何度か講義に出たあたりから、期待は幻滅に変わっていく。数式の扱いは習ったし、宿題も何とかこなした。でも肝心な「不思議さ」については何も理解できてない。なぜ粒子(あるいは猫)は、観測をしただけで状態を変えたりするのか? 先生は「受け入れるしかありません」という。周りの友人たちも、「なぜ」にこだわり続けるのは未熟だといわんばかりに、「慣れる」ことを競っている。何か釈然としない思いだけが残る……。 最近では「量子コンピュータ」への注目などから、量子力学が話題に上ることも多くなった。けれど、それ
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