分散形態論(英: Distributed Morphology)は、生成言語学において1993年にモリス・ハレとアレック・マランツによって導入された理論的枠組みである[1][注釈 1]。分散形態論の中心的な主張は語の構築と文の構築の間には境界がないということである。統語部門が句と語のいずれについてもその音と意味の対応を形成する唯一の生成動力 (single generative engine) として位置付けられる。このアプローチは派生語の形成が行われたり特異な意味が貯蔵されたりする部門としてのレキシコン (Lexicon) という伝統的な概念に対して異議を唱えている。分散形態論においては、初期の生成言語学で語形成を担っていた統一されたレキシコンは存在せず、他の理論でレキシコンにあるとされる諸機能は文法の複数の部門に分散している。 分散形態論では統語部門のみが語の形成と句の形成の両方を担う