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ブックマーク / book.asahi.com (45)

  • 文學界新人賞・市川沙央さん 「なにか職業が欲しかった」ままならぬ体と応募生活20年の果てに 「小説家になりたい人が、なった人に聞いてみた。」#1|好書好日

    第128回文學界新人賞 受賞作品「ハンチバック」 親が遺したグループホームで裕福に暮らす重度障害者の井沢釈華。Webライター・Buddhaとして風俗体験記を書いては、その収益を恵まれない家庭へ寄付し、Twitterの裏垢では「普通の人間の女のように子どもを宿して中絶するのが私の夢」と吐きだす。ある日、ヘルパーの田中に裏垢を特定された釈華は、1億5500万円で彼との性交によって妊娠する契約を結ぶ――。 療養生活という名の引きこもり 取材は市川さんが両親と暮らす自宅で行われた。お母さんに案内された部屋で、市川さんと目が合った瞬間、その射貫くような眼差しに気圧された。市川さんは筋疾患先天性ミオパチーという難病により、人工呼吸器を使用しているため、発話に大変な体力を使い、リスクもある。そのため取材も、あらかじめメールで回答をもらい、補足のみ、最小限お話いただく形をとった。 目力の強さはそれが市川さ

    文學界新人賞・市川沙央さん 「なにか職業が欲しかった」ままならぬ体と応募生活20年の果てに 「小説家になりたい人が、なった人に聞いてみた。」#1|好書好日
    yuiseki
    yuiseki 2023/07/20
  • コロナ禍でますます注目を浴びるフーコー“最晩年”のプロジェクト〈性の歴史〉――仲正昌樹が読み解く全貌|じんぶん堂

    記事:作品社 『フーコー〈性の歴史〉入門講義』(中央)。「入門講義」シリーズは15冊以上刊行されている。 書籍情報はこちら 緊急事態宣言で人通りもまばらな東京・新宿のアルタ前(2020年4月、朝日新聞撮影) フーコー〈性の歴史〉の“分かりにくさ” フーコーの『性の歴史』は、彼の思想を集大成する最後の著作として知られている。ただ、西欧近代を特徴付ける、「知」と「権力」の結合を、具体的な制度に即して歴史的に論じた『狂気の歴史』『臨床医学の誕生』『監獄の誕生』に比べると、どこに焦点を当てているのか分かりにくい。 「人間」を中心とする近代的な「知の地平」がどのように構成されているか明らかにすることを試みた『言葉と物』のような抽象度が高い著作と比べても、フーコーが最終的に何を明らかにしようとしているか分かりにくい。そのためフーコーをめぐる様々な論議で頻繁に言及される割りには、「西欧の性(セクシュア

    コロナ禍でますます注目を浴びるフーコー“最晩年”のプロジェクト〈性の歴史〉――仲正昌樹が読み解く全貌|じんぶん堂
    yuiseki
    yuiseki 2023/06/02
  • tofubeatsの知を拡張する愛読書 知らないより知ってたほうが、面白い確率が高い|好書好日

    tofubeatsさん tofubeats(とーふびーつ) 1990年生まれ神戸出身のラッパー/プロデューサー。中学時代から音楽活動を開始し、高校3年生で国内最大のテクノイベント「WIRE」に最年少で出演。代表曲は「朝が来るまで終わる事の無いダンスを」「水星 feat. オノマトペ大臣」など多数。2022年には中村佳穂らが参加した4年ぶりのフルアルバム「REFLECTION」、初の著書『トーフビーツの難聴日記』を発表する。 目標とするECDと小西康陽 ――アルバム「REFLECTION」と同日に出版される『トーフビーツの難聴日記』のゲラを読ませていただきました。tofubeatsさんは2015年にご自身の会社・HIHATT(ハイハット)を立ち上げましたが、創作以外にも、サンプリングのクリアランスや楽曲の権利処理、契約書の内容を弁護士さんに相談したりといろんな実務を並行されているん

    tofubeatsの知を拡張する愛読書 知らないより知ってたほうが、面白い確率が高い|好書好日
  • 「紛争でしたら八田まで」田素弘さんインタビュー 「知性」と「地政」で紛争解決するユニークなヒロイン|好書好日

    文:吉川明子 写真:斉藤順子 田素弘(でん・もとひろ)漫画家 1976年生まれ。東京都出身。アパレル、広告、webデザイン・ディレクション業を経て30代後半で脱サラ。『定時退社でライフルシュート』で「第1回THE GATE」一色まこと賞受賞。初連載『紛争でしたら八田まで』を43歳で開始。 半年間のイギリス滞在が影響 世界を股にかけて活躍する主人公といえば、漫画では『ゴルゴ13』のデューク東郷、『MASTERキートン』の平賀=キートン・太一、映画では「007」シリーズのジェームズ・ボンドと男性が主流だ。しかし、『紛争でしたら八田まで』の主人公・八田百合はサラサラのロングストレートにメガネとミニスカート姿が定番の女性。職業は地政学コンサルタントで、言語、文化歴史、宗教、政治、経済、軍事とあらゆることを頭に詰め込んで依頼に臨むが、どこに行っても浮きまくりで“ビッチ”扱いされてしまう、という異色

    「紛争でしたら八田まで」田素弘さんインタビュー 「知性」と「地政」で紛争解決するユニークなヒロイン|好書好日
  • 「新宗教と総力戦」書評 天理教と国家の関係をさぐる|好書好日

    ISBN: 9784815808150 発売⽇: 2015/09/18 サイズ: 22cm/353,7p 新宗教と総力戦 [著]永岡崇 幕末以降、日では新たな宗教が次々と起こった。書が対象とする天理教もその一つであり、昭和初期には新宗教のなかでも最大の教団へと発展する。しかし、これまでの研究では大(いわゆる大教)や天理教から分派した天理研究会(現・ほんみち)のような、国家と対立して弾圧された教団が学者や作家に高く評価されてきた。 それらとは対照的に見えるのが天理教である。明治期に政府の公認を受け、昭和になると全面的に戦争に協力したからだ。2度も弾圧された大に比べて天理教の研究が目立たないのもうなずけよう。だが書を読むと、決してはじめから体制寄りだったわけではなく、教祖の中山みきからひ孫の中山正善へと受け継がれる過程で、天理教の教義や信仰の形態が不断に変容していったことがわかる。

    「新宗教と総力戦」書評 天理教と国家の関係をさぐる|好書好日
  • スピノザの自然主義プログラムとは何か?(前編):必然主義と目的論批判|じんぶん堂

    記事:春秋社 Spinoza, Excommunicated by Samuel Hirszenberg, 1907 書籍情報はこちら 自然主義プログラム――自由意志も目的論もない世界の中で人間を理解する そもそも「スピノザの自然主義プログラム」とは何か。これはスピノザの言葉ではなく僕なりの命名だが、スピノザ思想の中に見いだされる、次の2点を柱とする構想である。 (1)自由意志概念の否定を伴う決定論または必然主義、およびその帰結としての唯現実論(アクチュアリズム) (2)目的論的自然観の徹底的な否定 この構想の背景として想定しているのは、17世紀科学革命による、近代的な力学的自然観の成立である。近代力学は、中世までの目的論的自然観を退け、「目的」とは無関係な法則に従って運動する微粒子の総体として自然を説明する。 このような自然観を踏まえた上でスピノザは、目的なき自然法則を乗り越えられるよう

    スピノザの自然主義プログラムとは何か?(前編):必然主義と目的論批判|じんぶん堂
  • 「独学大全」読書猿さんインタビュー 学ぶとは、生い立ちや境遇から自由になる最後の砦|好書好日

    文:篠原諄也 絵:塩川いづみ 読書猿(どくしょ・ざる) ブログ「読書猿 Classic: between/beyond readers」主宰。1997年からメルマガを始め、2008年にブログ「読書猿Classic」を開設。ギリシャ時代の古典から最新の論文、個人のTwitterの投稿まで、先人たちが残してきたありとあらゆる知を「独学者の道具箱」「語学の道具箱」「探しものの道具箱」などのカテゴリーにまとめ、独自の視点で紹介。著書に『アイデア大全』『問題解決大全』(共にフォレスト出版)。「大全」のタイトルは、トマス・アクィナスの『神学大全』(Summa Theologiae)のように、当該分野の知識全体を注釈し、総合的に組織した上で、初学者が学ぶことができる書物となることを願ってつけたという。 何度も失敗してつまずいた蓄積 ――正体不明で博覧強記の読書猿さんですが、一体何者なのでしょう? 一応、

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  • 生まれてこないほうが良かったのか? 哲学者・森岡正博さんと「反出生主義」を考える|じんぶん堂

    記事:筑摩書房 iStock.com/portishead1 書籍情報はこちら 私は生まれてこないほうが良かったのか? 「生命の哲学」がカバーする幅広いテーマの中から、書ではまずひとつの問いを取り上げて、集中的に考察する。それは「私は生まれてこないほうが良かったのか?」というものである。古来より、この問いは何度も繰り返し問われてきた。「生命の哲学」の中心にある痛切な問いのひとつである。私自身、「生まれてこなければよかった」と思うことはたびたびある。たとえば、私がこれまでの人生で親しい人たちにしてきた様々なことを思い返すたびに、「ああ、こんな私など生まれてこなければよかったのだ」と考えてしまう。あるいは、自分がいずれは死ななくてはならないことに思いを馳せるたびに、「私はなぜ死ななければならない人生へと生まれてきたのだろうか。こんな人生だったら生まれてこなければよかった」と考えてしまう。ふだ

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  • ヨルシカ「盗作」書評 オルゴールの外側へ(作家・三秋縋)|好書好日

    >「思想の種子をめちゃくちゃまき散らしたい」三秋縋さんとヨルシカの鼎談記事はこちら 三秋縋さん書評「オルゴールの外側へ」 海外小説を読んでいると、あの献辞というやつがやたら目に付く。「私を支え続けてくれた誰それに捧げる」「誰それにたっぷりの愛を込めて」みたいなあれだ。 僕が献辞を捧げるとしたら相手は誰になるだろうか、と時々考える。多分それは他ならぬ自分自身になってしまうのではないか。「僕を支えてくれた僕の両足へ」とか、そんなところだ。僕は誰かのためにを書いたりしないし、罪のない誰かを僕の情けないの共犯者に仕立て上げたりもしない。そして何より、僕は自分自身を楽しませるためにものを書いている。八割くらいまでは。残りの二割は生活のためだ。日によってこの割合は大きく変わる。自分のためにものを書き続けるのもそれはそれで疲れるからだ。何せ彼は常に自身の限界の先にあるものを要求してくる。生活のため

    ヨルシカ「盗作」書評 オルゴールの外側へ(作家・三秋縋)|好書好日
  • 「産業革命は黒人奴隷たちの血と汗の結晶である」 歴史学の常識を覆した研究者とは 川北稔さんが解説|じんぶん堂

    記事:筑摩書房 iStock.com/vivalapenler 書籍情報はこちら 「周辺」から世界の歴史を見る 植民地など、「周辺」とされる地域から世界の歴史をみようとする立場は、いわゆる世界システム論をはじめとして、いまではそれほど珍しくはない。そうした見方は、学問的にも市民権を得ているといえる。しかし、ほんの半世紀まえには、そうした立場は、まともな学問とはみられないものでもあった。先頭を切って、この困難な局面を切り開いたひとりが、書の著者エリック・ウィリアムズである。 トリニダード・トバゴの郵便局員の息子として生まれたウィリアムズは、秀才の誉れ高く、周りの期待を背負って、宗主国イギリスのオックスフォード大学に送りこまれた。古典学を専攻した彼は、抜群の成績で卒業したものの、当時のイギリスには─―というより、日をふくむ世界には─―、西洋文明の根源にかかわる古典学、つまりギリシア語やラテ

    「産業革命は黒人奴隷たちの血と汗の結晶である」 歴史学の常識を覆した研究者とは 川北稔さんが解説|じんぶん堂
  • 財政危機のギリシャで、反緊縮の経済学者が財務大臣に バルファキスが記した“現代のギリシャ戦記”|じんぶん堂

    記事:明石書店 『黒い匣 密室の権力者たちが狂わせる世界の運命――元財相バルファキスが語る「ギリシャの春」鎮圧の深層』(明石書店) 書籍情報はこちら ヤニス・バルファキス 写真の人物をご存じですか? ギリシャの経済学者ヤニス・バルファキスです。彼がたった9日間で書き上げたという『父が娘に語る経済の話』(邦訳はダイヤモンド社)は、世界的なベストセラーとなりました。こののプロローグに、次のような記述があります(原書より筆者訳)。 このが出る直前にAdults in the Roomというを出版したが、それは 2015年のトラウマ的な出来事をありのままに記録したもので、書くのが当につらいものだった。だが、「娘に」の英語版に関わる仕事が癒やしになった このトラウマ的な出来事とはどんなものでしょうか? それはAdults in the Roomの日語版、筆者たちのチームが昨年春に世に出した

    財政危機のギリシャで、反緊縮の経済学者が財務大臣に バルファキスが記した“現代のギリシャ戦記”|じんぶん堂
  • アニメの専門家はなぜ「京アニ事件」に沈黙したのか 平凡社新書『京アニ事件』より|じんぶん堂

    記事:平凡社 書籍情報はこちら アニメファンが攻撃されてきた歴史 第1章で、京アニ事件では、来ならコメントしたり解説したりするべき専門家の多くが取材を断ったことに触れた。実際に何人の専門家が取材を断ったのかをデータとして得ているわけではないし、京アニ事件において、私以外この話題を取り上げている例もほとんどないように思われる。あるいは、このことを問題にすること自体がタブーなのかもしれない。 それでも、事件報道に少なからず関わった私としては、問題としての大きさにかかわりなく、多くの専門家が事件に対するコメントを封印したという事実は、京アニ事件であらわになった特徴的な事象の一つとして指摘しておきたいと考える。 第1章で書いたように、専門家がコメントを避けた理由は、まず、事件の異常性、凄惨さを前にして、不用意に発言することによるリスクを避けようとしたこと。これは、評論家や研究者だけではなく、京ア

    アニメの専門家はなぜ「京アニ事件」に沈黙したのか 平凡社新書『京アニ事件』より|じんぶん堂
  • 「三体」監修・立原透耶さんインタビュー 中国SF界に現れた、突然変異的なスペースオペラ|好書好日

    文:ハコオトコ 立原透耶(たちはら・とうや)作家・翻訳家 1969年生まれ。ファンタジーなど幅広い作品を執筆。「ひとり百物語」シリーズ(メディアファクトリー)など著作多数。華文SFの翻訳も長く手掛け、最近も中国語圏の作家の作品を翻訳した『時のきざはし 現代中華SF傑作選』(新紀元社)を出版。 戦後、ソ連の影響を受けた中国SF ――翻訳・監修に多くの人が携わった「三体」シリーズ邦訳版ですが、立原さんは主に和訳された文章と中国語の原書と乖離が無いか、固有名詞やルビのミスが無いかなどをチェックする「総監修」を担当しました。華文SFに造詣が深く、翻訳も長く手掛けてきた立原さんですが、まずは三体の背景にある中国SF事情、歴史を教えてください。 第二次世界大戦後、中国ではソ連のSFが最初に(大々的に)影響したと思います。同じ共産国として中国の目指す科学技術立国、「頑張ったらこんな良い未来があるんだよ

    「三体」監修・立原透耶さんインタビュー 中国SF界に現れた、突然変異的なスペースオペラ|好書好日
  • 松本卓也+東畑開人 “心の病気”の専門家が語る「わかる」ということ|じんぶん堂

    記事:平凡社 写真:柳 裕子 書籍情報はこちら 「わかる」とは 東畑:こんばんは。まず僕の感想から始めたいと思います。『心の病気ってなんだろう?』では、「わかる」がテーマになっています。つまり、「精神疾患を持っている人の世界がわかる」のがテーマ。そこには、「わかることそのものがケアになる」という前提があります。 一般的には、心の治療や援助は、なにかしてあげるとか、なにか介入をすることだと思われがちだけど、その前に「わかる」ことが、すべての援助の根底にあります。そして、それがゴールであることもあります。そういう意味で、「わかる」の治療的価値はとてつもなく大きい。そういうことを伝えるために、このは「わかりやすく」書かれている。「わかる」の思想に貫かれているのだと思います。 松:ありがとうございます。そういうふうに読んでもらえると嬉しいです。 東畑:もう一点、すごくよかったと思ったのは、全編

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  • 「教育格差」書評 数字で示す「緩やかな身分社会」|好書好日

    ISBN: 9784480072375 発売⽇: 2019/07/04 サイズ: 18cm/360,21p 日は「生まれ」で人生の選択肢・可能性が大きく制限される「緩やかな身分社会」。教育格差の実態を圧倒的なデータ量で検証。すべての人が自分の可能性を活かせる社会をつくるために… 教育格差 階層・地域・学歴 [著]松岡亮二 何事であれまっとうな議論を行おうとすれば「数字・ファクト・ロジックで」「エピソードではなくエビデンスで」語らなければならないことは世界の常識である。書店の店頭に並べられた新刊書を手に取るたび、そういったまともなの余りの少なさにいつも悲しくなる。書は、日教育の実態を俯瞰的に捉えた数少ない正攻法の力作である。読後感は重いが説得力は半端ではない。教育に興味のある人にぜひとも一読してもらいたい一冊だ。 著者は前口上で、日は生まれ育った家庭と地域によって、何者にでもなれ

    「教育格差」書評 数字で示す「緩やかな身分社会」|好書好日
  • 「買春する帝国」書評 自由奪う事実上の奴隷制を解明|好書好日

    買春する帝国 日軍「慰安婦」問題の基底 (シリーズ日の中の世界史) 著者:吉見義明 出版社:岩波書店 ジャンル:歴史・地理・民俗 買春する帝国 日軍「慰安婦」問題の基底 [著]吉見義明 慰安婦のことを知らない若い人が増えている。中学の歴史教科書から慰安婦の記述がほぼ消えたためだ。歴史修正主義的な言説があふれる今、年長者の認識も怪しい。あいちトリエンナーレ「表現の不自由展・その後」の件も歴史認識の問題と当然関係しよう。 書はそんな心許(こころもと)ない状態のこの国で、私たちが知っておくべき日の性買売の実態を、最新の研究成果もふまえて広く深く解き明かした労作である。対象は幕末から売春防止法の施行(1958年)まで。議論するならこのくらいは押さえておこうよ、という最低限のラインである。 国際社会へのデビューに際し、1872年、明治政府は人身取引を禁止する芸娼妓(しょうぎ)解放令を出す。

    「買春する帝国」書評 自由奪う事実上の奴隷制を解明|好書好日
  • 北村紗衣さん「お砂糖とスパイスと爆発的な何か」インタビュー 目からうろこのフェミニスト批評集|好書好日

    文:篠原諄也 写真:斉藤順子 北村紗衣(きたむら・さえ)武蔵大学人文学部英語英米文化学科准教授 1983年、北海道士別市生まれ。専門はシェイクスピア、フェミニスト批評、舞台芸術史。東京大学の表象文化論にて学士号・修士号を取得後、2013年にキングズ・カレッジ・ロンドンにて博士号取得。著書に『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち──近世の観劇と読書』 (白水社、2018)、訳書にキャトリン・モラン『女になる方法──ロックンロールな13歳のフェミニスト成長記』(青土社、2018)など。 傑作とされる古典がつまらなかった ――フェミニスト批評とは何でしょう? フェミニスト批評はこれまでの批評が実は男子文化だったことに立脚しています。つまり、批評の歴史を振り返ると、男性中心的な社会の中で、男性向けに作られたものを男性の視点で読む。それが普遍的な解釈だとされてきました。 日の近代文学もそうで、たとえ

    北村紗衣さん「お砂糖とスパイスと爆発的な何か」インタビュー 目からうろこのフェミニスト批評集|好書好日
  • 恨み言びっしりの絵馬、ロリータ服の水子地蔵……現代日本に息づく奇妙で真剣な信仰に迫る 小嶋独観「奉納百景」|好書好日

    文:ハコオトコ 写真:斉藤順子 あの世での“バーチャル結婚式”描く「ムカサリ絵馬」 ――書では小嶋さんが全国の神社仏閣、ちょっと分類不能な宗教施設にまで訪れて取材したいろいろな「奉納物」を紹介しています。メジャーな絵馬から帽子などの日用品、動物の骨に至るまで奉納された光景はいずれも奇妙で荘厳でもあります。普段私たちが参拝する際にあまり気にしていない奉納物を追いかけるようになったきっかけは何でしょうか? もともと変わったお寺を巡るのが好きでした。以前は仏像や建物といった面から寺社を面白がっていましたが、奉納物に注目するきっかけとなったのが、20年近く前に出会った「ムカサリ絵馬」です。これはショッキングだった。 ――若くして未婚で亡くなった我が子のために、親が「結婚式の様子」を描いた絵を奉納する山形・村上地方の風習ですね。書には絵の絵馬だけでなく、どこからか切り取ってきたような大人の花嫁と

    恨み言びっしりの絵馬、ロリータ服の水子地蔵……現代日本に息づく奇妙で真剣な信仰に迫る 小嶋独観「奉納百景」|好書好日
  • 「日本のヤバい女の子」はらだ有彩さんインタビュー 型にはまらない女性像を全肯定 |好書好日

    文:太田明日香、写真:平野愛 はらだ有彩(はらだ・ありさ) テキストレーター。言葉と、イラストレーションをテキスタイルにして、「自分に装填させることで元気になる」ブランドmon.you.moyo(http://arisaharada.com/)を運営。文筆、イラストレーション、テキスタイルを通して、「決まっているレギュレーションを排して再構築して自分の納得いく形に作り替えたい」と活動している。 はらださんは兵庫県の、古典の舞台にもなった海辺の町出身。江戸時代末期から続くせんべい屋さんの六代目の父、ゴリゴリのフェミニストの母のもとで育った。中高は六年間女子校。大学は芸大で男女の関係ない世界。「女性」ということで不利益を被ることとは無縁の世界だった。それが、社会に出てから一変した。 「最初に入った会社で、ふだん信頼している仕事仲間が突然“帰って早く彼氏のごはん作らないと”みたいな女性差別的なこ

    「日本のヤバい女の子」はらだ有彩さんインタビュー 型にはまらない女性像を全肯定 |好書好日
  • コラム別に読む : 潜行―地下アイドルの人に言えない生活 [著]姫乃たま - 中森明夫 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ■地下アイドル・姫乃たまの才能! 姫乃たまは地下アイドルだ。16歳の時、ライブハウスで「地下アイドルのお姉さんに誘われ」自らもデビューした。地下アイドルとは、ライブハウスでの活動を中心とするアイドルで、防音対策上、ライブハウスの多くが地下にあるためそう呼ばれ始めたとか(諸説あるともいう)。ひいてはインディーズのアイドルを意味する。 一度も芸能事務所に所属せず、マネージャーもいない。10代の頃から姫乃たまは、たった一人でアイドル活動を続けてきた。6年間にわたるその見聞を記したのが書である。初めて自主制作でアルバムを作った時、エンジニアの男性に肉体を求められたり、破れてはけなくなったパンストを3万円で売ってくれとメールが届いたり、枕営業・整形・風俗との境界線etc、ディープな話題がテンコ盛りだ。「地下アイドルのファンって、歯がない人が多いよね」「地下アイドルなのに、腕に傷がないんだね」──げ

    コラム別に読む : 潜行―地下アイドルの人に言えない生活 [著]姫乃たま - 中森明夫 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
    yuiseki
    yuiseki 2017/03/27