出会ったのは半月ほど前なのですが。 学生時代に行きつけだったメキシコ料理店で。 近所の寮に住んでたなんて話をしたら 「そこのピアノを調律してた」って。 ただもう何年も触っていないとのことで。 そしたらほどなく、そのピアノを大切にされていた 前理事長夫人の訃報が届きまして。ほんと突然に。 ああ、呼ばれたな、って。 「あなた、あのピアノをよろしく」って。 早速、例の店を訪ねてそこから電話。 翌日にちょうど時間があるからということで即決。 寮の事務室に聞くと、実は別の方にお願いしていたのだけど、 調律だけでは難しい状態、なのだとか。 その方、到着するなりピアノの前に座り (ピアノへの)あいさつ代わりとばかりに 軽くホンキートンクなフレーズを奏で 「大丈夫そうですけどね」と。 「こっちのアップライトは子供の散髪みたいなもんで」 驚くほど安い値段を言われ、そのまま作業開始。 調律師に特有のもったいぶ