読了:瀬尾まいこ『幸福な食卓』講談社文庫、2007年。 2009年に一度読んでいるのですが、瀬尾まいこ氏の作品の中でも印象に残っている作品の1つで、久々に読み返してみました。 瀬尾氏の作品では特に「家族」について描かれていることが多く、だけど、単に「家族」と言っても様々な形の家族が描かれています。本作品もそのうちの1つで、それが冒頭部分でいきなり出てきます。 「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」 春休み最後の日、朝の食卓で父さんが言った。 私は口に突っ込んでいたトマトをごくりと飲み込んでから「何それ?」と言って、直ちゃんはいつもの穏やかな口調で「あらまあ」と言った。 たったこれだけの文章ですが、メインとなる登場人物を一気に3人登場させ、なんとなーく彼らの性格というか、物語における立ち位置的なものが詰め込まれているような気がします。いや、今後の展開を知っているからそう感じるだけかもしれま