東日本大震災の被災地で暮らす1人の女子高生を追ったドキュメンタリー映画「うたごころ」の自主上映会が、全国で開かれている。監督は民放局のディレクターとして阪神大震災の報道にも携わった榛葉健(しばたけし)さん(48)。休暇を利用し手弁当でカメラを回した。「ありのままの被災地を感じ、つながりを持つきっかけにしてほしい」。思いに共感したボランティアの手で上映の輪が広がっている。【竹内良和】 ◇「ありのまま」に共感 映画は、津波で自宅を失った女子高生の4カ月を60分にまとめている。震災を機に父母への思いを深めたり、高校の合唱部の引退コンサートに挑んだりしながら自分を見つめ直す姿を追った。 榛葉さんが初めて被災地入りしたのは昨年5月。壊滅的被害を受けた宮城県南三陸町に向かうボランティアの合唱グループに同行した。避難所で歌を聞き、泣いていたのがこの女子高生だった。「この2カ月間、歌のない生活だったので…