「三つ子の魂」変わるか 子供の目の前に好物(たとえばマシュマロ)を一つ置く。食べずに我慢できたら後で二つあげると伝える。我慢できるか否か、すなわち自制心を発揮できるか否か。それを調べるのが、本書の題名にもなっている「マシュマロ・テスト」だ。このテストのすごいのはその先だ。 このテストに参加した、ある保育園ののべ550人の子供たちの追跡調査を行い、10年ごとに様々な基準で評価したのだ。行動科学の分野で知らない人はいないというこのテストと追跡調査を行ってきた著者が一般向けに書いたのが本書である。 その追跡調査の結果がすさまじい。幼児期に自制心を発揮してマシュマロを我慢できた子供は、大学進学適性試験(SAT)の成績が高く、肥満度が大幅に低く、対人関係の問題において、適応性も高かった。中年期に脳スキャンができるようになると、さらに驚くべきことがわかってくる。自制できた人は理性的な行動に使われる領域