茶の湯の名匠が綴る、美しい日本の歳時記。 著者の千宗屋さんは、千利休に始まる三千家のひとつ、武者小路千家の次期家元。その審美眼と感性から、“現代の利休”とも評される方。そんな宗屋さんが、インスタに発信してきた写真とコメントが編集され、見事な一冊にまとめられている。 出版から一年。季節がひとめぐり。新年、立春をふたたび迎え、花の香りや陽射しに春を見つけるのが楽しいこのごろ。そんないまだからこそより楽しい。より心に響いてくる。 茶席の花やお菓子、お茶碗、季節の行事に、日常の一服、折々訪ねた旅先の風景、そこでの出会いやそこでの一服などが綴られている。美しいたくさんの写真と、すくないが研ぎ澄まされた言葉。本に再編集されてなお、インスタの魅力がいきていて、紙ゆえのめくり、眺め、掌にうける喜びがある。 インスタは見せることを前提としているから日記のたぐいとは異なるのだろうが、そこには、ある一人の日常が