情報化社会の急速な進展に伴い、政治や教育、性差の受け止めなど多岐にわたる分野で自身と異なる意見に触れる機会が増えた。分断やあつれきが生じる一方、立場や環境を超えて相互理解や共感に力を注ぐ人たちの姿もある。人口減少社会が間近に迫る中、人々をつなげ、輪を広げていこうとする人たちの姿を取り上げる。 「視覚以外の感覚で物事を理解するのには時間が必要。じっくりと全身を使い、知っていくことの豊かさを多くの人と共有したい」 副代表理事を務める一般社団法人メノキ(群馬県下仁田町)は2021年に設立。凹凸を持たせた上毛かるたの制作や、視覚に頼らず言葉で鑑賞する美術館ツアーなどを展開し、視覚に障害がある人とアートとの距離を縮める活動に取り組む。 代表理事は、網膜色素変性症の進行で目が見えなくなった彫刻家、三輪途道( みちよ )さん。全盲の立場でメノキの事業に取り組む三輪さんと共に、...