LGBTなど性的少数者をめぐる「理解増進」法案の今国会成立を自民党などが事実上断念したのは既報の通りである。その背景には、自民党内外の保守系議員による強烈な抵抗があったためとされる。LGBTなど性的少数者に対する人権擁護に関する法整備は、”通常の”先進国では自明の潮流となっているだけに、今回の法案成立断念に失望・落胆の声が相次いでいる。 しかしなぜ保守派は、LGBTへの権利擁護にこれほどまで頑なに抵抗するのだろうか。その理由と背景を探ってみたい。 ・戦時統制期のイデア(理想像)にしがみつく 筆者は永年保守界隈に居を構え、保守系論壇誌への寄稿や保守系番組への出演を行ってきた。当然その関連で、保守系議員(現職・元職国会議員や地方議員など)と邂逅するわけだが、彼らとその支持者の思い描く「日本における理想の国家像・社会像」からは、LGBTなど性的少数者が排斥されるか、最初から勘定の外として認識され