高校生のとき、一人の現代国語の先生に出会った。 30代前半のその先生は、いきなり『ゼイリブ』の話をした。次に、「ほら、デブが犬のウンコ食う映画」と言うので、一番前の席の俺は、「『ピンク・フラミンゴ』ですか?」と思わず口を開いた。「そうそう! 新宿の薄汚い小屋で、無修正で観たんだよ〜」などとニコニコ言う。 俺は、この先生と、知識の交換をしたいと思ったんだ。なんだろ。子どもが、自分の宝物を大人に差し出すような感じ。大人から見たら、ガラクタにしか見えないものを、とっておきの宝物のように見せてあげる、そんな子どもの心境。 この先生だったら、そういう「子どもの宝物」を馬鹿にせず、同じぐらいキラキラしているなにかスゴイものをくれるような、そんな気がしたんだ。 俺は当時、授業をサボって、神保町の古本屋を巡っては「奇譚クラブ」を探したり、『家畜人ヤプー』の限定版を探したり、そんなことに夢中になっていた。あ